慢性剥離性歯肉炎とはどんな病気か



 歯肉症とも呼ばれ、歯肉の表面の皮(上皮)がはがれ落ちてびらんを形成し、痛みを特徴とする病気です(図42)。一般に、生理不順あるいは閉経後の女性に多くみられ、2〜3歯に限られているものから、口のなか全体に及ぶものまでさまざまです。

原因は何か

 原因はよくわかっていませんが、ホルモン、とくに女性ホルモンとの関連が否定できません。また、ある種の病変は自己免疫疾患に含まれるほか、精神的ストレスとの関連もあるといわれています。
 また、皮膚科疾患である炎症性角化症(かくかしょう)としての扁平苔癬(へんぺいたいせん)、水疱性(すいほうせい)粘膜疾患としての類天疱瘡(るいてんぽうそう)や尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)などにかかると、その症状が口のなかに現れるとも考えられています。

症状の現れ方

 軽症のものは、10〜20代の女性に起こりやすく、痛みもなく、歯肉の縁や歯と歯の間の歯肉が赤くなる(紅斑(こうはん))程度です。
 中程度のものは30〜40代にみられ、紅斑や灰白色の病変が起こります。また、歯肉の表面はつるつるした感じになり、灼熱感(しゃくねつかん)(ひりひりした感じ)があったり、水疱(すいほう)の形成がみられることもあります。
 重症のものは、更年期あるいは閉経後の女性に多くみられます。歯ブラシや食べ物のこすれによって、簡単に歯肉の上皮がはがれ、鮮紅色を呈したびらん面が露出します。病変部は出血しやすく、食べ物による温熱刺激や化学的刺激に対して過敏になり、食事をするのが困難になります。また、接触痛もあるのでブラッシングも難しくなります。
 発現部位は、唇・頬側(外側)の歯肉に多くみられます。経過は極めて緩慢で、長期にわたって再発を繰り返し、難治性です。

治療の方法

 軟らかい歯ブラシやデンタルフロスをていねいに使い、口腔清掃を心がけ、早めに歯科医を受診することです。副腎皮質ホルモン薬や抗生剤の軟膏の局所塗布が対症療法としてすすめられます。
 重症の場合は、内科主治医と相談のうえ、副腎皮質ホルモン薬の全身投与が行われることもあります。また、対症療法で病変部がよくならない場合は、その部分を切り取ったり、上あごから歯肉を採取して移植することもあります。