アデノイド増殖症とはどんな病気か



 咽頭(いんとう)(のど)には扁桃(へんとう)と呼ばれるリンパ組織の集まったものがあり、外界から細菌やウイルスが体に侵入しようとするのを防御する役割を果たしています。口蓋垂(こうがいすい)(のどちんこ)の横に左右一対ある口蓋扁桃(こうがいへんとう)、鼻腔の奥にある咽頭扁桃(アデノイド)が代表的な扁桃組織です(図10)。
 アデノイドは3歳ごろから増大し始め、6歳ごろに最も大きくなりますが、そのあとは次第に萎縮(いしゅく)します。通常はアデノイドの肥大は病的な意味をもたないのですが、時に肥大に伴ってさまざまな症状の現れることがあり、アデノイド増殖症と呼ばれています。

症状の現れ方

 以下のような症状が、主に幼小児期にみられます。
(1)鼻の症状
 鼻腔と咽頭の間が閉塞(へいそく)されることによって、鼻づまり、いびきが大きい、などの症状が現れます。乳児では哺乳がうまくできなくなることもあります。口で呼吸するためにしまりのない顔つきになりますが、これはアデノイド顔貌と呼ばれています。
(2)耳の症状
 難聴になることもあります。中耳と咽頭は耳管という管でつながっているため、アデノイドの肥大で滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)になりやすくなります。
(3)全身症状
 口蓋扁桃やアデノイドの肥大が原因で夜間の呼吸が妨げられ、睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)の原因にもなります。そして、昼間には注意力散漫、行動に落ち着きがない、などの症状も現れます。

検査と診断

 鼻からのファイバースコープ検査などにより、診断は比較的容易です。X線検査も有用です。まれですが、腫瘍(しゅよう)が疑われる場合には組織を一部とって検査をすることもあります。

治療の方法

 アデノイドは年齢とともに萎縮するので、先に述べた諸症状が軽度の場合には積極的な治療はしませんが、症状の強い場合にはアデノイド切除術を行います。手術は全身麻酔をかけて口のなかから行うので、外から傷が見えることはありません。

アデノイド増殖症に気づいたらどうする

 症状が多様であるため、原因がアデノイド増殖症と気づかないことも少なくありません。疑わしい症状があれば、耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。