正中頸嚢胞、側頸嚢胞・瘻とはどんな病気か

 正中頸嚢胞とは、胎生期に甲状腺ができる時、のどと甲状腺をつないでいた管の一部が退化せずに残り、袋を形成したものです。頸部(けいぶ)の正中(真ん中)にできるため、正中頸嚢胞といわれます。
 側頸嚢胞とは、胎生期のえらのようにみえる鰓溝(さいこう)という溝が残り、頸部に嚢胞ができたものです。溝にはいくつかあって、原因となる溝により、嚢胞につながる管が外耳道(がいじどう)や口蓋扁桃(こうがいへんとう)あるいは下咽頭(かいんとう)といわれるのどの下方にあいていることがあります。嚢胞につながる管が皮膚にあいている場合を側頸瘻といいます。嚢胞や瘻孔(ろうこう)が正中頸嚢胞に比べて頸部の外側にあるため、このように呼ばれます。

症状の現れ方

 正中頸嚢胞も側頸嚢胞も、通常は出生時から症状があることはなく、ほとんどはある年齢になってから、頸部のはれに気がついて初めて診断されます。正中頸嚢胞では多くの場合、頸部上方の正中部にはれが生じます。なかにたまった液の量により、硬さはいろいろです。つばを飲むと上下に動くことが特徴です。デルモイドシストといわれる嚢胞や、異所性甲状腺腫(いしょせいこうじょうせんしゅ)などとの区別が必要なことがあります。
 側頸嚢胞は、胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という耳の後ろの骨と鎖骨(さこつ)・胸骨を結ぶ頸を斜め縦に横切る筋肉の内側にあります。下顎(かがく)の角近くの頸(くび)にはれが生じます。これもなかにたまった液の量により、硬いものから軟らかいものまでいろいろあります。瘻孔はまれなものですが、この筋肉に沿った部位に穴があり、粘液が出ることがあります。嚢胞では、リンパ節腫脹(しゅちょう)や神経原性の腫瘍などとの区別が必要になります。

治療の方法

 いずれも手術による治療が必要です。嚢胞の頻回の穿刺(せんし)(針で刺すこと)は細菌感染の可能性を高め、また、根治治療とはならないのですすめられません。手術では、瘻孔やのどなどにつながる管を含めた嚢胞の完全摘出が重要です。そのために正中頸嚢胞では、舌骨という嚢胞についた骨の一部の合併切除も行います。完全摘出が行われれば再発はありません。