食道憩室とはどんな病気か



 食道憩室は、食道壁の一部がポケット状(嚢胞状(のうほうじょう)、テント状)に外側に突出した状態で、表面は粘膜におおわれているものです(図11)。

原因は何か

 嚢胞壁に筋層がある先天性のものと、後天性のものがあります。
 また、発生のきっかけにより、食道の圧が高くなって筋層が弱くなった部分または筋層がない部分から粘膜が突出した内圧性憩室、食道の周囲に炎症があってテント状に突出した牽引性(けんいんせい)憩室があります。
 後者の典型的な例は、結核性(けっかくせい)リンパ腺炎(せんえん)が食道壁へ波及して、癒着した食道壁が引っ張られて憩室となる場合です。

症状の現れ方

 ほとんどが無症状で、多くは上部X線検査、内視鏡検査で偶然に見つけられるものです。
 症状を起こすものに、食道の入口にある憩室(ツェンカー憩室)があります。憩室内に食物が入り、袋が大きくなって食道を圧迫し、食物が飲み込みづらくなったり、つかえる感じがあります。また、袋のなかに食物が入ったまま横になると、食物が逆流して誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こしたり、袋にある食物が腐って口臭の原因になります。

検査と診断

 上部X線検査が有用で、嚢胞状、テント状の突出が認められれば診断できます。内視鏡検査では、入口部の憩室は見えにくい場合がありますが、憩室内の粘膜上皮の観察には適しています。粘膜面の観察は、時に憩室内にがんを合併することがあるため必要です。

治療の方法

 治療は、小さいものに対しては必要ありません。憩室による食道の圧排の強いもの、炎症を繰り返すもの、誤嚥の原因になる場合は、外科的な治療を行います。外科的治療は、嚢胞を切除する方法(憩室を切り取る)と、切除せずに縫縮する方法(縫い縮める)があります。

食道憩室に気づいたらどうする

 検診などで、偶然に食道憩室と診断された場合、多くは経過観察で十分ですが、時に憩室様にみえる異なる病気もあるため、一度は専門医を受診することをすすめます。