胃がん<食道・胃・腸の病気>の症状の現れ方

 胃がんに特有な自覚症状はありません。早期胃がんの多くは無症状で、一般には上腹部痛、腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)、食欲不振を契機に、X線造影検査や内視鏡検査で偶然に発見されます。
 進行がんになると体重の減少や消化管の出血(下血や吐血)などがみられ、触診で、上腹部にでこぼこの硬い腫瘤(しゅりゅう)を触れることもあります。腹水がたまったり、体表にリンパ節が触れるような場合は、がんが全身に広がったことを示し、このような場合は手術の対象にはなりません。

胃がん<食道・胃・腸の病気>の診断と治療の方法

 2004年に、日本胃癌学会が病期に応じた標準治療のガイドライン(第2版)をまとめて、広く一般にも公開しています(表3)。とくに、IA期に対する内視鏡的粘膜切除術は患者さんへの肉体的負担が少ないこと、胃の機能が温存できること、また入院期間も短いことから日本では積極的に行われています。
 最近では、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離(ねんまくかそうはくり)術、コラム)という方法も広く行われるようになり、大きい病変をひとかたまりで切除することができる時代となりました。
 手術不能な胃がんに対する抗がん薬治療は、いくつかのベストサポーティブケア(BSC:抗がん薬を使用しない対症療法)との比較試験の結果、明らかな延命効果が証明されています(生存期間中央値がBSCの3〜4カ月に対し、抗がん薬治療が10カ月)。しかし、具体的な薬剤の選択や投与法に関しては、いまだ研究段階にあり、経験豊富な施設、医師のもとでの治療がすすめられます。
 また、セカンドオピニオンを積極的に聞くことも大切です。主に手術不能症例に対して、いろいろな代替医療(民間療法)が普及していますが、その多くは科学的根拠に乏しいものであり、これらの治療は十分な説明を受け、納得したうえで受けるようにしてください。
 胃がん全体の5年生存率は、1963〜1969年の統計では44%でしたが、1979〜1990年の統計では72%と明らかに改善しています(国立がんセンター)。病期別の5年生存率はI期92%、II期77%、III期46%、IV期8%(がん研究振興財団編「がんの統計1999」)となっています。
 治療法の進歩にもかかわらず、治癒切除例の5年生存率が88%、非治癒切除例の5年生存率が11%であるのに対し、切除不能例の5年生存率は2〜3%と不良で完治は困難です(国立がんセンター)。内視鏡的切除例の5年生存率は、対象がIA期に限られていることもあり、80〜95%と外科切除と同等に良好です。
 胃潰瘍十二指腸潰瘍に対してはHp の除菌療法が標準治療となっていますが、Hp の除菌によって胃がんの発生が抑えられるかどうかについては、現在、精力的に研究が進められています。ポジティブな結果が待たれますが、明確な答が出るには時間がかかりそうです。