過敏性腸症候群<食道・胃・腸の病気>の症状の現れ方

 主な症状は、腹痛もしくは腹部不快感と便通異常です。腹痛は、左下腹部に最も多くみられますが、部位が一定しないものも少なくありません。腹痛の性状は、発作的に起こる疝痛(せんつう)(さし込むような痛み)、または持続性の鈍痛のいずれかで、便意を伴っていることが多く、排便後に一時的に軽快する傾向を示します。一般的に、食事によって症状が誘発され、睡眠中は症状がないという特徴があります。
 その他、腹部膨満感、腹鳴(ふくめい)(おなかがごろごろ鳴る)、放屁などのガス症状も比較的多くみられます。また、頭痛、疲労感、抑うつ、不安感、集中力の欠如など、さまざまな消化器以外の症状もみられることがあります。病型別の特徴を述べます。

(1)下痢型
 突如として起こる下痢が特徴です。突然おそってくる便意が心配で、通勤や通学、外出が困難になります。また、そうした不安が、さらに病状を悪化させます。

(2)便秘
 腸管がけいれんを起こして便が停滞します。水分がうばわれた便はウサギの糞のようにコロコロになり、排便が困難になります

(3)交代型
 下痢と便秘を交互に繰り返します。

過敏性腸症候群<食道・胃・腸の病気>の診断と治療の方法

 治療においては、「命に関わることはないが、経過が長く完全に治ることが少ない」というこの病気の性質を理解することが必要です。また、症状の完全な消失にこだわらず、日常生活のなかで病気とうまく付き合っていくことも大切です。
 過敏性腸症候群の治療は、(1)生活・食事指導、(2)薬物療法、(3)心身医学的治療、の3つが基本になります。生活習慣のなかで、不規則な生活、睡眠不足、慢性疲労の蓄積、睡眠不足、心理社会的ストレスなど、この病気の増悪因子と考えられるものがあれば修正を試みます。症状を悪化させる食品(大量のアルコール、香辛料など)の摂取はひかえましょう。食物繊維の摂取は、便秘または下痢どちらのタイプにも有効なので積極的にとるべきです。
 薬物療法が必要な場合は、高分子重合体、消化管運動調節薬、漢方薬などがまず投与されます。下痢に対して乳酸菌や酪酸菌製剤(いわゆる整腸薬)、セロトニン受容体拮抗薬、止痢(しり)薬、便秘に対して緩下薬、腹痛に鎮痙(ちんけい)薬が投与されることもあります。これらの薬剤で改善がみられない場合は、抗不安薬、抗うつ薬が考慮されます。
 心身医学的治療としては、精神療法、自律訓練法、認知行動療法などがあります。