急性上腸間膜動脈閉塞症<食道・胃・腸の病気>の症状の現れ方

 発症直後は、上腸間膜動脈が詰まったために七転八倒する激しい腹痛が現れます。その割に、おなかを触ると軟らかい時期があります。数時間以内に、腸の虚血(きょけつ)のため腹膜炎(ふくまくえん)となって、おなかを触ったり手を離す時に反射的に痛みを訴えるようになります。
 時間が進むと、腸がむくんで麻痺してくるため、腸の内容物が停滞して腸閉塞(ちょうへいそく)の症状を示し、嘔吐を伴い、腸やその内容物に体中の水分を奪われて著しい脱水症状を示すようになります。血便がみられることもあります。
 さらに症状が進むと、顔面蒼白、冷や汗、手足の冷感、脈や呼吸が速く弱くなるなどのショック状態となり、早期に手術をしないと死に至ったり、手術をしても救命できないこともあります。

急性上腸間膜動脈閉塞症<食道・胃・腸の病気>の診断と治療の方法

 発症早期6時間以内に手術ができた場合には、詰まった血管を再び流れるようにできることもあります。
 治療が遅れると腸が壊死(えし)するため、切除せざるをえません。ほとんどの小腸を切除することになり、たとえ救命できても、以降、口からの食事摂取だけでは栄養吸収が不十分になり、一生、栄養剤や点滴の併用が必要になることもあります。
 また、腹膜炎が進行した状態や腸が壊死し孔(あな)があいてしまったあとでの手術では、切除した腸の端同士を縫合することは危険です。そのため口側の腸の断端を腹の外に引き上げ、人工肛門にせざるをえないこともあります。
 この人工肛門は、直腸がんの場合につくる大腸人工肛門と異なり、食べたものがまだ十分消化されないうちに大量の胃液や胆汁、膵臓の消化液とともに排出されることになります。人工肛門造設直後には、1日2〜3lの排液がみられることもまれではありません。このため、水分や塩分のバランスがとりきれず、命が失われることもあります。