粘膜脱症候群とはどんな病気か

 排便時の長年にわたる過度の“いきみ”によって直腸粘膜の脱出が起こり、多くは直腸の前壁に潰瘍性の病変や隆起性の病変など多様な形態をとり、それらが混在することもあります。比較的最近になってから認識され、その病態が明らかになってきた病気です。

粘膜脱症候群の原因は何か

 排便時の長年にわたるいきむ習慣により、直腸の粘膜が肛門部に向かって顕在性または潜在性に脱出しますが、これにより粘膜に血流障害が発生して、潰瘍性の病変や隆起性の病変が引き起こされるとされています。

粘膜脱症候群の症状の現れ方

 主な症状は出血、粘液分泌、肛門痛、排便困難、残便感などです。ほとんどの人は排便時にいきむ習慣をもっています。

粘膜脱症候群の検査と診断

 直腸鏡、大腸内視鏡検査、大腸X線検査などで診断します。大腸内視鏡検査では直腸の中下部の前壁に、大きさや形がさまざまな白苔(はくたい)を伴った浅い潰瘍をつくるものから、発赤やびらんを伴ったいろいろな隆起をつくるものまで、さまざまな所見がみられます。隆起したものでは直腸がんやポリープと間違われたり、潰瘍性のものでは大腸がんやさまざまな炎症性腸疾患との区別が難しかったりすることもあります。
 粘膜脱症候群の病変は、潰瘍性の病変や隆起性の病変が混在することもあり、病変の大きさや形もさまざまで、発赤や点状出血、びらんがみられたり、病変が全周性にみられることもあります。内視鏡検査での生検組織検査で、粘膜固有層に平滑筋線維と線維組織の混在と増生(線維筋症)、炎症細胞の浸潤(しんじゅん)がみられたら確定診断できます。

粘膜脱症候群の治療方法

 治療の基本は、繰り返しいきんで排便しようとする習慣をやめることです。そのほか、緩下剤(かんげざい)の投与や食物繊維を多くとり排便習慣を整えることも有効です。保存的な治療で改善しない場合には、痔核の治療に準じたゴム輪結紮(けっさつ)や外科的な手術などで治療します。

粘膜脱症候群

排便の時に強くいきむことを習慣にしていると、直腸の粘膜がたるんで脱出するようになります。粘膜のたるみが生じると、排便してもすっきりしなくなるために、さらにいきむようになります。 そのため、直腸粘膜が傷ついたり、粘膜の血流が乏しくなることで、直腸に潰瘍や隆起性病変ができる病態を粘膜脱症候群といいます。女性に多く、20代から症状が始まり、30〜50代で診断されることが多い病気です。