裂肛<直腸・肛門の病気>の症状の現れ方

 特徴的なのは痛みです。排便の時、かなり強い鋭い痛みを感じ、排便するのが嫌になるほどです。排便後もジーンとした痛みが、内括約筋がけいれんしている間は続きます。
 出血はきれいな赤い血で、概して紙に付く程度のわずかなことが多いのですが、時にポタポタとかなり量が多いこともあります。
 裂肛が慢性化すると肛門潰瘍(かいよう)になります(図14)。これは裂肛部分が潰瘍状に深くなるもので、潰瘍部分には炎症が及び、肛門が器質的に狭くなり、肛門狭窄となります。そのため便が出にくくなり、また、便が細くなってしまいます。
 潰瘍部分に絶えず汚物がたまる状態となるために、炎症性に潰瘍部分の口側には肛門ポリープが、肛門側には皮膚の突起した見張りイボ(皮膚痔(ひふじ))ができてきます。肛門ポリープは排便時に肛門から脱出するようになり、皮膚痔は肛門からの突起物、出っ張りとして感じられるようになります。

裂肛<直腸・肛門の病気>の診断と治療の方法

 裂肛が新しく、慢性化していない時期では、保存的に治療します。
 排便時の痛みがひどく、薬を使っていてもなかなか治らなかったり、いったん治っても裂肛を繰り返す場合は、狭くなった部分を解除する内括約筋側方切開を行います(図15)。
 これは肛門狭窄部を解除することで裂肛の痛みを和らげたり、肛門を切れにくくする方法です。肛門のまわりの皮膚から細いメスを挿入して、狭くなった内括約筋の一部を切開するもので、外来で1〜2分程度のわずかな時間で行えます。
 裂肛が完全に慢性化し、肛門ポリープや皮膚痔を伴って狭窄がひどい場合は、入院して手術を行います。手術は肛門ポリープや皮膚痔を切除後、狭くなった部分を切開して広げ、そのあとに粘膜皮膚縫合を行い、皮膚を肛門内に移動しカバーする方法(皮膚弁移動術)が一般的に行われています。
 そのほか、最近試みられるようになった治療として、括約筋を手術的に切開するのではなく、内括約筋を一時的に弛緩(しかん)させる薬物(ニトログリセリン軟膏)を用いて裂肛を治そうとする方法があります。しかし頭痛などの副作用が生じることがわかり、副作用がなく内括約筋を弛緩させる薬物が工夫・開発されています。