術後肛門障害とはどんな病気か



 肛門の手術後に起こった、さまざまな障害の総称です(表2)。構造的には肛門部の粘膜、皮膚、神経・筋肉、骨で障害が発生します。術後から患者さんは直腸粘膜脱、狭窄、変形、閉鎖不全、難治創(そう)による出血、粘膜脱、便もれ、排便困難で悩むことになります。主な障害はホワイトヘッド肛門(47%)、痔瘻術後肛門閉鎖不全(じろうじゅつごこうもんへいさふぜん)(17%)、術後肛門狭窄(きょうさく)(15%)です。
 多くは医師の経験不足、知識不足、時代遅れの治療、患者さんの不養生が要因になります。この障害を起こす原因となる手術は、ホワイトヘッド(氏)手術、痔瘻手術、痔核(じかく)手術、腐蝕(ふしょく)療法などです。

症状と治療


(1)ホワイトヘッド肛門

 ホワイトヘッド手術とは、脱出する内外痔核を肛門管に対して帯状に全周性に切除して、肛門皮膚と直腸粘膜を環状に縫合するものです。


 本来は、これで痔核は完璧に切除されて完治となるはずですが、早いもので3年、遅いと15〜20年してから、肛門出血、粘膜脱出、肛門狭窄などが起こることがあります。このような状態をホワイトヘッド肛門といいます(図23)。


 治療は、皮膚弁移動術や結紮(けっさつ)切除術で行います(図24)。最近では、粘膜脱には硫酸アルミニウム・カリウム・タンニン酸液注射が有効であることがわかっています。しかし、肛門機能や外観は普通になっても、厳密な意味では元通りの肛門にはもどりません。
(2)痔瘻術後肛門閉鎖不全


 肛門周囲膿瘍(のうよう)痔瘻手術で不用意な肛門括約筋(かつやくきん)切開により、肛門変形・肛門閉鎖不全を起こしたものです(図25‐a・b)。肛門は鍵穴状に変形し、完全に肛門が閉まらず、瘢痕性(はんこんせい)に硬化した状態です。病悩期間は平均17年と長く、自覚症状は便・ガスもれ、粘膜脱、べとつき、出血、便偏位(便がまっすぐに出ず、左右どちらかに曲がって出る)などです。


 治療は、硬くなった肛門から括約筋を掘り起こし、肛門形成術(括約筋縫合)をすると、かなり括約機能が回復し、便がまっすぐに楽に出ます(図27)。
(3)術後肛門狭窄


 肛門がゆるいのとは反対に、術後の肛門が硬くて狭く、出血、痛み、排便困難を起こしたものです(図26)。痔核手術後に生じることが多く、痔核切除の時、肛門上皮を取りすぎたことが原因です。
 保存的治療が無効の時は、早めに外科的処置(皮膚弁移動術・皮下内括約筋切開術)を加えると有効です。いずれも、まずは手術をした担当医、肛門科専門医に相談してください。