クローン病に伴う肛門病変とはどんな病気か

 クローン病とは、小腸の末端部を好発部位として、小腸から直腸のどの部分にも炎症や潰瘍が起こる、免疫異常を伴う原因不明の病気です。症状は腹痛、下痢、発熱、口内炎、体重減少、貧血、非定型的肛門病変などです。主として10代から30代の若い人にみられます。


 このクローン病の70〜80%に肛門病変が合併します。裂肛(れつこう)、痔瘻(じろう)、肛門周囲膿瘍(のうよう)、浮腫状皮垂(ふしゅじょうひすい)などが多く、女性では直腸肛門腟瘻(ろう)もあります。これらは、クローン病の存在を疑わせる特徴的な病変です(図28)。
 一般に大腸型や小腸大腸型に多く、直腸にクローン病変を認める場合には肛門病変は必発です。したがって、肛門病変をみてクローン病の診断に至ることも少なくありません。

原因は何か

 クローン病そのものによる肛門病変は、裂肛、下掘れ潰瘍、浮腫状皮垂などで、これらを一次性病変と呼びます。ここから感染や瘻孔形成などの変化が加わると、複雑痔瘻、肛門周囲膿瘍、皮垂、肛門狭窄(きょうさく)などを示すようになり、これらを二次性病変と呼びます。
 裂肛・肛門潰瘍は、深いわりには痛みが少ない傾向があります。クローン病の裂肛は、深く掘れ込み、不整形で多発しやすく、歯状線(しじょうせん)より口側に進展することが多いものです。痔瘻は、瘻管の走行が複雑で非定型的ルートをとり、長く太く、二次口が多発する傾向があります。

検査と診断

 肛門部の所見からクローン病を疑った場合には、詳細な問診とていねいな診察を行うと同時に、消化管内視鏡検査や小腸造影などを積極的に行います。特徴的な消化器症状や、大腸、小腸の潰瘍やアフタ、腸管の狭窄、敷石様(しきいしよう)変化などがみられたら、診断はまず確実です。
 肛門病変の組織検査はあまり有用ではありません。

治療の方法

 肛門病変に対しては、腸管を休めるような栄養療法(成分栄養剤)、薬物療法(副腎皮質ホルモン、サラゾスルファピリジン、メサラジン、免疫抑制剤)などの保存的療法を優先します。これによって病変および症状の改善が認められない場合には、インフリキシマブ注射や白血球除去療法、外科的治療(切開、シートン法)を検討します。
 裂肛は、クローン病の治療を含む保存的治療で満足すべき成績が得られます。単純型低位筋間痔瘻(ていいきんかんじろう)は、瘻管(ろうかん)開放術や瘻管くり抜き法を行います。瘻管が複雑な時は、瘻管開放術やシートン(紐(ひも)通し法)を組み合わせます。シートン法は、痔瘻を単純な型にしたり、うみが出やすくするもので、数年にわたってゴムやシリコン紐を入れておくこともあります。
 保存療法や手術で改善せず、腹部病変や肛門病変が複雑な時は、一時的に人工肛門を作ることもあります。

クローン病に伴う肛門病変に気づいたらどうする

 クローン病と診断のついている人は担当医に、初めて肛門病変に気づいた人、または複雑な痔瘻をもっている人は、クローン病に詳しい医師(内科医、外科医)、肛門専門医にかかってください。