性行為感染症(STD)に伴う肛門病変<直腸・肛門の病気>の症状の現れ方

 小さく、やや白っぽい乳頭状疣贅(ゆうぜい)(いぼ)が散在または密集し、痛みやかゆみ、分泌物を伴います。
 本症の特殊な病変として、巨大尖圭コンジローマ(ブシュケ・ローエンシュタイン腫瘍)が有名です。乳頭腫(にゅうとうしゅ)が密集し、急激に増加して巨大な腫瘤塊(しゅりゅうかい)を形成し、悪臭を放ち、悪性化することもあります。約21%に悪性化を起こします。
 日和見感染症としては、CD4陽性Tリンパ球が500〜200μl前後では、口腔内カンジダ症、カポジ肉腫、トキソプラズマ症を発症します。200μl以下でカンジダ食道炎、カリニ肺炎、単純ヘルペス腸結核(ちょうけっかく)、悪性リンパ腫を発症し、75〜50μl以下では非定型抗酸菌症(ひていけいこうさんきんしょう)、サイトメガロウイルス感染症が合併しやすくなります。
 エイズでは不明熱、慢性下痢、体重減少が特徴的な症状ですから、下痢による肛門周囲膿瘍は要注意です。
 初期硬結(しこり)は、肛門縁に切れ痔のような硬い腫瘍とさらさらした分泌物を生じ、感染後2〜3週間後に局所に出ます。これを第1期梅毒といいます。
 放置しておくと6週間で自然に消え、第2期梅毒へ移行します。肛門周辺には大豆大の扁平な丘疹(きゅうしん)(扁平コンジローマ)が多発して、梅毒血清反応が強陽性になります。この時がいちばん感染力が強く、そのため膀胱炎尿道炎腟炎、鼠径リンパ節炎などを起こしやすくなります。

性行為感染症(STD)に伴う肛門病変<直腸・肛門の病気>の診断と治療の方法


(1)外科的方法
 できるだけ正常な皮膚を残して、ごく一部の皮膚といぼをいっしょに切除し、開放創(そう)として自然治癒させます。肛門管に病変が及んでいる場合は、切除後の肛門狭窄(きょうさく)の防止に注意します。小さい場合やわずかな再発巣は、電気メスで焼きます。
 産婦人科では、炭酸ガスレーザーによる蒸散もよく用いられます。

(2)抗ウイルス薬軟膏塗布
 以前は、フルオロウラシル(5‐FU)軟膏の塗布が最も広く知られていましたが、創面が潰瘍を作り、疼痛や変形の原因となることがありました。最近はイミキモド軟膏が発売され、病変切除後の再発予防に有効なことがあります。ブレオマイシンの局所注射や軟膏剤の塗布などが有効との報告もあります。

(3)その他
 漢方薬であるヨクイニン(ヨク苡仁)の内服や、10%尿素含有軟膏(ウレパール)の外用が有効であるという報告があります。
 免疫の目安であるCD4陽性細胞数が200〜300μlになったら、抗HIV療法を開始します。基本的にはヌクレオシド系逆転写酵素(ぎゃくてんしゃこうそ)阻害薬2剤とプロテアーゼ阻害薬1剤を併用し、長期間継続します。最近は多剤併用療法(HAART)によって、感染症の予後はかなり改善され、死亡者は減少し、治るようになってきました。
 肛門病変は手術することもあります。
 第1期梅毒では2〜6カ月、第2期では1年半の長期間にわたってペニシリン系抗生剤の内服が必要です。
 第2期梅毒では、完治させるために根気強い治療が必要です。