ヘモクロマトーシス<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の症状の現れ方

 原発性ヘモクロマトーシスの自然経過と検査所見、病態の推移を図8に示します。原発性ヘモクロマトーシスは、月経や妊娠・出産などで鉄が失われやすい女性には少なく、男性が5〜10倍多いのが特徴です。組織学的に鉄の沈着が認められても、症状が現れるまでには20〜40年を要するため、40〜60歳での発症が多くみられます。このころになると、体内の貯蔵鉄は20〜40gに達しています。
 臨床的には、肝硬変糖尿病、皮膚色素沈着の3主徴、さらに心不全を加えた4主徴のほかに、種々の内分泌障害(甲状腺・副甲状腺・下垂体の機能低下、性機能低下など)から性欲減退、陰毛や体毛の脱落、無月経、睾丸萎縮(こうがんいしゅく)などが、また関節症状(対称性のはれと疼痛)なども高頻度に認められるのが特徴です。

ヘモクロマトーシス<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の診断と治療の方法

 ヘモクロマトーシスの治療は、臓器に沈着した鉄を除去する治療と、鉄沈着により生じた臓器障害に対する対症療法とに分けられますが、前者が基本です。早期に診断し鉄を除去すれば予後は良好ですが、続発性のヘモクロマトーシスに対しては、原因となっている病気の治療が原則です。
 鉄の除去法には、瀉血(しゃけつ)(血液を大量に抜く方法)と鉄キレート薬(鉄排泄促進薬)投与の2つがあります。
 瀉血は最も効果的で、かつ安価です。瀉血による血液喪失によって軽度の貧血状態になることにより、造血が亢進するために臓器に沈着している鉄が血中に動員されるので、臓器中の鉄の減少が期待できます。
 通常、週1〜2回、300〜500mlずつ瀉血します。ヘモグロビンが11gdl、ヘマトクリットが30%、フェリチン濃度とトランスフェリン飽和度の正常化を瀉血治療の目標として、瀉血の量と頻度を調節します。
 しかし、瀉血によって鉄の吸収過剰の異常が改善されるわけではないので、フェリチンとトランスフェリン飽和度が正常になったあとも、その維持を目標にして数カ月に一度の瀉血が必要です。
 鉄キレート療法は、鉄の排泄促進薬であるデスフェラールを1日750〜2000mg、皮下注射または静脈注射で投与して、鉄の尿中への排泄の促進を図るものですが、効果は瀉血よりも劣ります。
 瀉血では貧血と血漿(けっしょう)成分の低下が問題となるので、低蛋白血症、貧血、重症心不全などが高度な患者さんには、瀉血の代わりに鉄キレート療法が適応となります。肝硬変に対しては、肝移植の適応となります。