肝がん(肝細胞がん)<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の症状の現れ方

 腹部超音波、X線CT、MRIなどの検査で発見される直径5cm以内の肝がんであれば、通常は無症状です。直径が5〜10cmの肝がんになると、腹部が張った感じや腹痛などの症状を起こすこともあります。
 肝がんが大きくなるに伴って、肝機能が低下することが多く、もともとある“肝硬変が悪化した症状”として、黄疸(おうだん)や腹水の増加などの症状が出ることもあります。小型であっても、肝がんが破裂を起こして腹腔に大出血を起こすと、腹部の激痛と血圧低下が起こり、一気に生命が危険な状態に陥ることもあります。

肝がん(肝細胞がん)<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の診断と治療の方法

 肝細胞がんの治療法としては、(1)外科的肝切除、(2)経皮的エタノール局注療法(PEIまたはPEITと略)、(3)ラジオ波凝固療法(RFAと略)、(4)肝動脈化学塞栓(そくせん)療法、(5)放射線療法などがあります。最近では、これらの治療法が行えないような進行した肝がんに対して、分子標的薬といった内服治療により生存期間を延ばすことができることも知られています。
 肝がんは直径2〜3cmの大きさになると、門脈を経由して肝内各所に転移を始めます(肝内転移多発)。一方、肝細胞がんは基礎疾患として慢性肝疾患、とりわけ肝硬変があることが多く、いったん根治的に切除しても、新規の発がんを起こして再発することも少なくありません(多中心性多発)。
 実際の患者さんでは、この2つの多発のパターンをはっきり区別することは必ずしも簡単ではありませんが、前者の肝内転移多発のほうががんとしての性質が強く、生存率に及ぼす影響が大きいといえます。
 肝がんでは、この(1)多発性(1個か複数か)、(2)腫瘍の大きさ、(3)肝機能の重症度の3点を考慮してそれに適した治療法が選択されることが多く、さらに、(4)がんの存在部位(肝臓の表面か深部か)を考慮することもあります。
 代表的な治療法の長所・短所を表14にまとめました。肝がんに対して行われるさまざまな治療法は、“根治性”“多中心性発がんの起こりやすさ”“肝予備能”など、すべての観点を考慮して決定するもので、ただひとつの治療法が最も優れているということはありません。
 さまざまな治療法を柔軟に組み合わせて行うこと(集学的治療)こそが、肝がん患者さんの生活の質(QOL)を保ち、長期の生存につながるといえます。