脂肪肝とはどんな病気か

 肝臓はたくさんの肝細胞の集合体ですが、脂肪滴(しぼうてき)がたまった肝細胞が全体の1割を超えたら脂肪肝と呼ぶのが一般的です。慢性の脂肪肝は肥満や糖尿病高脂血症などで起こりやすいのですが、従来これ自体は多くの場合無害と考えられてきました。
 しかし、このような変化が一部の人では肝硬変(かんこうへん)への一里塚となっていることが最近明らかになってきました。このため、今日では、「脂肪肝は万病の元」、「脂肪肝を良性の疾患として見過ごしてはいけない」というのが世界の潮流です。
 他方、急性に発症するものにはライ症候群や急性妊娠性脂肪肝がありますが、いろいろな原因により生じる全身のミトコンドリアの機能不全が原因といわれ、死亡率が高いのが特徴です。

原因は何か

 脂肪肝は、原因により栄養性、内分泌性、代謝性、中毒性に分類されます。慢性の脂肪肝は、食欲不振症のように高度の飢餓(きが)状態や、ホルモンの異常、高度の肥満に際して生じます。急性の脂肪肝は、ライ症候群や急性妊娠性脂肪肝などの代謝異常や、アセチルサリチル酸やバルプロ酸などの薬の過剰な服薬で生じます。

症状の現れ方

 全身のミトコンドリア機能不全で生じる脂肪肝では意識障害が生じることが多いのですが、慢性に生じる脂肪肝には通常、自覚症状はありません。

検査と診断

 ライ症候群や急性妊娠性脂肪肝の診断は臨床所見に基づくことが多く、重い病気で死亡率が高いので、すみやかな治療が必要です。
 処方箋を必要としない市販薬(OTC薬:オーバー・ザ・カウンター・ドラッグ)でも、重症肝障害を来すことがあるので注意が必要です。
 慢性の脂肪肝については、腹部超音波検査により肝腎コントラストの増強、深部エコーの減弱などを指標に肝臓の脂肪化を検査します。肝臓の脂肪化が見つかれば、腹部CT検査で肝臓のCT値と脾臓(ひぞう)のCT値を測定して肝脾比を計算し、それが0・9以下であれば脂肪肝と診断します。
 単なる脂肪肝か非アルコール性脂肪肝炎(NASH)(コラム)かを知るためには、肝生検といって、肝臓の組織検査をする必要があります。

治療の方法

 カロリーの制限と運動量の増加が大切です。予後は合併症の有無により大きく変わります。NASH、糖尿病高脂血症高血圧の合併がないかどうかを確認し、飲酒量もチェックしてみます。

脂肪肝に気づいたらどうする

 病状の正しい評価が必要です。生活習慣病では合併症が多岐にわたることが多く、診療科を選ぶ場合に混乱が生じやすいので、家庭医に相談して合併症に応じた専門医を紹介してもらうことが大切です。