肝嚢胞とはどんな病気か
- 肝嚢胞は、肝臓のなかに液体のたまった袋ができる病気です。
- 主として人間ドックなどの超音波検査によって、無症状で発見されます。
- 嚢胞は1個の場合も複数の場合もあり、大きさは数mmから10cmを超えるものまでさまざまです。
- 50歳以上の女性に多くみられ、超音波検査を受けた人の約5〜20%に発見されると報告されています。
肝嚢胞の原因は何か
- ほとんどが先天性で良性の病気です。
- 原因が明らかなものとして、外傷性、炎症性、腫瘍性、寄生虫性などの嚢胞があります。
- 肝臓だけでなく腎臓、膵臓(すいぞう)、脾臓(ひぞう)、卵巣などに多発する嚢胞を形成する場合もあります。
肝嚢胞の症状の現れ方
- 多くは無症状です。
- 大きくなれば、腹部腫瘤(しゅりゅう)の自覚、腹部膨満感(ぼうまんかん)、腹部鈍痛、胃部の不快感、吐き気などが現れることがあります。
- 嚢胞内に感染が起これば、発熱、腹痛など肝膿瘍(かんのうよう)に似た症状を示します。
- 嚢胞内に出血すれば、急激な腹痛やショック状態を起こすこともあります。
- 腫瘍性や寄生虫性肝嚢胞では、病気の進行に応じて、前記の症状に加えて黄疸(おうだん)、浮腫などが現れます。
肝嚢胞の検査と診断
- 診断は、超音波検査、CTなどの画像診断でほぼ確定します。
- 肝機能検査はほぼ正常ですが、胆道系酵素が上昇することがあります。
- 嚢胞の存在診断は簡単ですが、炎症性、腫瘍性、寄生虫性嚢胞を的確に診断しなければなりません。
- 悪性腫瘍や寄生虫性嚢胞が疑われた場合は、腫瘍マーカーの測定や寄生虫に対する抗体検査が行われます。
肝嚢胞の治療方法
- 先天性肝嚢胞で症状がない場合は、定期的に検査するだけで、とくに治療を必要としません。
- 圧迫症状が強い場合や感染、出血、破裂などの合併症を起こした場合は治療が必要です。
- 通常の場合、嚢胞を超音波で観察しながら、経皮的に細い針を穿刺(せんし)し、内容液を排液します。
- その後、嚢胞壁の細胞をアルコールやミノサイクリン(ミノマイシン)で死滅させることで治療できます。
- 経皮治療の対象とならない場合は、開腹または内視鏡的に手術を行います。
- 炎症性、腫瘍性、寄生虫性の肝嚢胞では、原因に応じた治療が必要になります。
肝嚢胞に気づいたらどうする
- 上腹部不快感や腫瘤を触れる場合は、消化器内科を受診します。
- 無症状で偶然発見された場合は、嚢胞の原因を調べてもらい、担当医からその後の方針を聞くようにしましょう。