胆嚢がん、胆管がんとはどんな病気か

 胆管とは肝臓で作られた胆汁を流す管であり、その脇道に胆汁をためる胆嚢があります。それぞれにできたがんを、胆管がん・胆嚢がんと呼びます。胆管がんはさらに、肝臓内の胆管にできる肝内胆管がんと、肝臓外の胆管にできる肝外胆管がんに分類します。
 胆管は肝臓内では枝葉のように分かれていますが、肝臓外に出る所で1本の“総胆管”になります。胆汁は総胆管を通って十二指腸に流れ込み、食べ物の消化を助けます。胆管は太い所でも直径が7mm程度と細いため、小さいがんでも胆汁の流れをせき止めます。胆管の根元が詰まると、胆汁の大部分が十二指腸に流れなくなり、黄疸(おうだん)になります。
 一方、肝臓内の細い胆管や胆嚢にがんができた場合には黄疸は出にくく、症状が現れた時点で進行がんとなっていることがあります。

原因は何か

 胆嚢がんは女性に多く、胆管がんは男性に多い病気です。70代に最も多くみられ、加齢はひとつの危険因子になります。
 胆管は十二指腸に流れ込む所で膵管(すいかん)と合流しますが、その合流に生まれつき異常(膵胆管合流異常(すいたんかんごうりゅういじょう))がある方の場合、刺激の強い膵液が胆管に常時逆流します。その方が胆管拡張をもっている場合、膵液が胆管にたまり胆管がんができやすくなります。胆管拡張のない場合は、膵液が胆嚢にたまり胆嚢がんができやすくなります。
 そのほか、胆管に原因不明の慢性炎症を起こす原発性硬化性胆管炎(げんぱつせいこうかせいたんかんえん)という病気があり、胆管がんを約10%の確率で合併します。
 胆嚢がんの約60%に胆石の合併がみられます。一方で、胆石をもつ人で胆嚢がんになる割合は、胆石手術をされた患者さんの1〜2%程度です。現時点では胆石と胆嚢がんとの直接的な因果関係は証明されていません。

症状の現れ方

 総胆管にがんができると、小さいがんでも黄疸が出ます。黄疸になると、皮膚や白目が黄色くなり、尿が茶色になり、便が白くなります。また全身にかゆみが出てきます。
 肝臓内の細い胆管や胆嚢にがんができた場合には黄疸の症状が出にくいため、がんが大きくなってから症状が出てきます。みぞおちから右上腹部の鈍痛、食欲不振、体重減少、発熱などの症状を伴うことがあります。

検査と診断

 採血検査では、胆管が詰まると肝機能異常を呈します。がんの指標となる腫瘍マーカーも調べますが、がんで必ず上がるとは限らず、また早期診断にはあまり役に立ちません。
 画像検査では、腹部超音波検査が基本となります。胆嚢がんは、胆石などが重ならなければ、がん自体を描出できます。胆管がんではがん自体を描出できなくても、拡張した上流の胆管を描出することが診断の一助となります。胆嚢がん・胆管がんが疑われた場合には、CTやMRIによって病気の広がりを確認します。
 がんの病理診断や黄疸の解除(つまった胆管にチューブを入れて胆汁を流す)を目的に、直接胆管にアプローチして検査をすることがあります。一方、胆嚢に直接アプローチすることは難しく、早期の胆嚢がんでは術前に病理診断ができないこともあります。胆管にアプローチする方法として、内視鏡を用いて十二指腸から胆管にアプローチする方法(ERCP)と、おなかの表面から肝臓内の胆管にチューブを挿入して胆管にアプローチする方法(PTCD)があります。

治療の方法

 胆嚢がんでも胆管がんでも手術が基本となります。ただし、転移などで手術できないこともあります。がんの場所によっては大きな手術(胆嚢や胆管だけでなく、肝臓や膵臓の一部、さらには胃や十二指腸まで切除する)となるため、身体が手術に耐えられない場合には他の治療法を選択します。
 手術ができない場合は、抗がん剤治療や放射線治療を行います。抗がん剤治療では塩酸ゲムシタビン(ジェムザール)やティーエスワンという抗がん剤を使用します。放射線治療には、体の外から照射する体外照射法と、胆管内から照射する胆管腔内照射法があります。転移のない胆管がんなどで行われますが、その効果は限定的です。

胆嚢がん、胆管がんに気づいたらどうする

 胆嚢がんや胆管がんの手術は、時に専門性の高い大きな手術になります。また黄疸をうまく解除できなければ、手術はもとより抗がん剤治療さえも行えません。病状にもよりますが、内視鏡により黄疸を解除するためのチューブを体内に埋め込むことで、おなかからチューブを出しながらの生活を回避することも可能です。いずれの処置も専門性が高いため、内科・外科双方が本領域の治療に慣れた専門病院での治療をおすすめします。
 なお黄疸を放置すると、肝臓や腎臓に重大な障害をもたらします。また胆管や胆嚢の感染を放置すると死に至ることもあります。黄疸や寒気を伴う高熱に気づいたら、すみやかに内科や外科を受診して検査を受けてください。