慢性膵炎<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の症状の現れ方

 典型的な症状として上腹部痛、腰背部痛があげられます。疼痛はがんこで持続性ですが、間欠的に生じるものもあり、また程度も軽度なものから高度のものまで人によりさまざまです。そのほかの症状としては吐き気・嘔吐、食欲不振、腹部膨満感(ぼうまんかん)などがあります。
 診察時には、上腹部を中心に圧痛(押すと痛む)がみられます。また、背中の中央あたりをこぶしでぽんぽんと叩かれると、背部から腹部にかけて広がるような痛みを感じることもあります(叩打痛(こうだつう))。
 疼痛は食後(油分の多い食事)や、飲酒後に比較的起こりやすい傾向がみられますが、とくに誘因がなく突然起こることもあります。また、まれに、まったく痛みのない慢性膵炎も存在します。
 これらの症状は、膵臓の機能が比較的保たれている早期(代償期)にみられますが、膵組織が破壊され膵機能が著しく低下した後期(非代償期)には、かえって現れなくなります。
 しかし、慢性膵炎の後期には、膵臓の外分泌機能不全(がいぶんぴつきのうふぜん)による消化吸収障害としての脂肪性下痢や体重減少、あるいは内分泌機能不全(ないぶんぴつきのうふぜん)(インスリン分泌低下)による糖代謝障害(膵性糖尿病(すいせいとうにょうびょう))が認められるようになってきます(図23)。

慢性膵炎<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の診断と治療の方法

 経過中に急激に悪化して(急性増悪(ぞうあく))強い症状が現れた場合は、急性膵炎と同じ状態と考えられるので、同様の治療が必要になります。
 急性増悪まではいかないまでも、軽度から中程度の症状の場合は、原因あるいは誘因を極力避けることが必要です。すなわち、食事やストレスなどの生活習慣の改善が重要です。
 具体的には節酒・禁酒を守る、脂肪の多い食事を避け(脂肪量を1日40g以下にする)、蛋白質も0・5〜0・8gkg体重に制限します。また、過食を避ける、コーヒーを飲みすぎない、香辛料の使用を制限する、心身の安静を保つ、なども重要となります。
 急性増悪を繰り返す場合は、1回の食事量を少なくし、食事回数を4〜5回にして、分けて摂取するように指導します。
 腹痛が持続する場合は、鎮痛薬や鎮痙薬(ちんけいやく)などを使用します。また、消化酵素薬や膵酵素阻害薬(すいこうそそがいやく)の経口投与も軽症の患者さんには有効です。
 膵機能の低下による消化吸収障害に対しては、消化酵素薬の大量投与が必要になります。また、胃酸分泌抑制薬も併用します。膵性糖尿病は、通常の糖尿病で使用される経口糖尿病薬ではコントロールが困難な場合が多く、一般にインスリン注射が必要になります。
 慢性膵炎での特殊治療としては、膵石に対する対外衝撃波結石破砕療法(たいがいしょうげきはけっせきはさいりょうほう)(ESWL)や内視鏡治療、膵管狭窄や膵仮性嚢胞(すいかせいのうほう)に対するドレナージ治療(管を挿入して内容物を吸引する)などがあります。
 これらの治療法の発達で、慢性膵炎に対する外科的治療は以前に比べて少なくなりました。しかし、がんこな疼痛がどうしても改善しない場合や、重篤な感染を合併した時は、手術を行うことがあります。