膵嚢胞<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の症状の現れ方

 IPMNの場合、多くは無症状で経過します。時に、作られる粘液が主膵管にたまった結果、膵液そのものの流れが悪くなると、腹痛や背部痛などの症状が現れ、急性膵炎を起こすことがあります。
 仮性嚢胞の場合、膵炎や外傷など、原因が存在するので、仮性嚢胞と診断されるよりも前に、それらの原因による腹痛などの症状が先行します。慢性膵炎に伴う仮性嚢胞のなかには、腹部膨満感や腹痛が現れ、それによって初めて診断されるものもあります。

膵嚢胞<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の診断と治療の方法

 IPMNの場合、悪性化の所見が疑われれば、手術による切除の対象になります。EUSで膵管壁に存在する腫瘍が明らかな場合、ERCPと同時に採取された膵液の細胞の検査で悪性の所見が得られた場合、などがあげられます。
 しかしながら、多くのEUSのない施設では、小さな腫瘍の存在をとらえられていない可能性があるため、嚢胞の大きさ、すなわち、粘液の量から腫瘍の悪性度を類推し、手術を検討します。EUSを行わない場合、手術が手遅れになるといけないので、一般には嚢胞径(嚢胞状に拡張した分枝膵管の径)3cmを手術の基準としていますが、この時点ではまだ命を奪うようながんには至っていないことがほとんどです。一方、なかにはすでに膵管の内腔にできた腫瘍が膵管の外(膵実質)に浸潤し、あるいは他臓器に転移した状態で発見されることもあります。このような場合には通常の膵がんに準じた治療が必要になります。
 悪性所見のないIPMNの場合、年2、3回の経過観察になります。この際、IPMNが悪性化する以外に、IPMNと離れた部位に、通常の膵がんができる可能性があります。経過観察中にこれらの悪性所見が出現する頻度は年率0・5〜1%程度とされており、腫瘍マーカーなどの血液検査と、超音波検査・造影CT検査・MRCPなどの体への負担の少ない画像検査を組み合わせて行い、悪性化が疑われる場合には、EUSやERCPなどの内視鏡検査を追加します。
 IPMN以外の嚢胞性膵腫瘍については、粘液性嚢胞腺腫が疑われた場合、悪性化の可能性が高く、手術による切除の対象となります。漿液性嚢胞腺腫が疑われた場合、悪性化の可能性は低く、経過観察可能とされていますが、徐々に増大するため、手術による切除を行うこともあります。
 また、これらの診断は切除後の病理検査で最終的に決定されるので、まぎらわしい場合もあり、術後に診断が変わることもありえます。
 仮性嚢胞に対しては、食事をやめて点滴などで栄養を補いながら膵を安静に保つ治療が基本になりますが、それでも増大する場合、ERCPを応用して、膵管から嚢胞内に管(ステント)を入れて減圧を試みたり、内視鏡を用いて、胃や十二指腸などから仮性嚢胞に直接針を刺して交通をつくって嚢胞液を持続的に消化管に排液させたりする治療も行われます。さらに、感染などを合併する場合には、嚢胞切除などの外科治療が行われることもあります。