膵島腫瘍<肝臓・胆嚢・膵臓の病気>の診断と治療の方法

 治療は、いずれも外科的切除が第一選択になりますが、切除不能例(悪性で他に転移を認める場合や腫瘍の局在診断ができない場合)は、薬物療法(ディアゾキサイド、サンドスタチン、抗がん薬のストレプトゾトシン、5‐FU、アドリアマイシン)を行うことがあります。
 以下、主要なものについて、その特徴を解説します。

膵島細胞(すいとうさいぼう)がん
 明らかなホルモン過剰症候を示さないため、症状は膵がんと同様に、腹部腫瘤(しゅりゅう)、上腹部痛、黄疸(おうだん)などです。5cm以上の大きな非機能性膵島腫瘍は、ほとんどが悪性です。
 高分化型は非常にゆっくりと大きくなり、切除できれば5年生存率は約70%と報告されていますが、低分化型は非常に進行が早く予後不良です。

インスリノーマ
 インスリノーマは、血中の糖濃度を下げるインスリンを過剰に分泌します。人口100万人に4人程度の発生頻度で、50〜60代の女性に多く発生します。90%は良性の腫瘍(腺腫(せんしゅ))で、また90%が単発で、そのうちの70%は体尾部に発生します。膵臓以外には胃、十二指腸、腸間膜などにもみられます。ほとんどの腫瘍は小さく、1〜2cm大です。
 症状としては、インスリン過剰による低血糖症状が主で、たとえば意識障害、傾眠(けいみん)(非常に眠い状態)、けいれん、脱力感、発汗などがみられます。
 また、診断にあたっては、空腹時の血中インスリン濃度血糖値比が0・3以上であることが指標となります。

ガストリノーマ
 ガストリノーマは、ガストリン産生腫瘍で、ガストリンによる(1)難治性の消化性潰瘍、(2)胃酸分泌の著しい亢進、(3)膵島腫瘍を3主徴とするゾリンジャー・エリソン症候群ともいわれます。40代に多く、やや男性に多い傾向がみられます。
 発生は膵:膵外性の比が1対2で、とくに十二指腸壁内での発生が最も多くみられます。悪性例、多発例が多く、診断時にすでに肝・リンパ節転移を認めることがほとんどで、インスリノーマとは対照的です。多発性内分泌症(MEN)I型を合併することがあります。
 症状としては、過酸・消化性潰瘍に伴う腹痛、水様性下痢がみられます。
 診断にあたっては、血中ガストリン値が高いことが指標となります(多くは500pgml以上)。
 ガストリノーマで手術ができない例には、ストレプトゾトシンの投与や経動脈的塞栓術(そくせんじゅつ)が行われます。胃酸分泌を抑えるために、H2受容体拮抗薬(きっこうやく)やプロトンポンプ阻害薬が使用されます。

グルカゴノーマ
 グルカゴノーマは、グルカゴンというホルモンを産生する腫瘍で、グルコースの血中濃度(血糖)を高め、特有な皮疹を引き起こします。約80%は悪性ですが、ゆっくり大きくなり、15年以上生存する可能性があります。腫瘍は3cm以上のことが多く、発症は50代が中心で、患者さんの約80%は女性です。
 症状としては、鼠径部(そけいぶ)から始まり、臀部(でんぶ)、前腕、下肢へと移動する鱗状(りんじょう)赤茶色の皮疹(天疱瘡様(てんぽうそうよう)皮膚炎)と、滑らかで光沢があり、明るい赤橙色の舌が特徴です。
 診断にあたっては、血中グルカゴン値が高いことが指標となります(多くは1000pgml以上)。