尿毒症とはどんな病気か

 尿毒症とは、腎機能の低下により起こる臓器、組織、さらには細胞機能(はたらき)の障害と、体液異常により起こる症候群の総称です。いい換えれば、末期腎不全(まっきじんふぜん)の状態を意味しています。
 腎臓には老廃物を排泄する以外に、水、電解質(ナトリウム、クロール、カリウム、カルシウム、リンなど)のバランスや酸塩基平衡の維持、ホルモンの産生および不活性化(はたらきを終わらせること)の機能などがあります。尿毒症では、これらの腎臓の機能すべてが阻害されています。

症状の現れ方



 食べ物の多くは、体内で代謝され、大部分は水と炭酸ガスになります。蛋白質などは窒素(ちっそ)代謝産物(尿素窒素、尿酸、クレアチニンなど)となり、正常では尿中より排泄されますが、尿毒症では十分排泄できず体内にたまります。そのため神経症状、消化器症状、出血傾向などの症状が現れます(表16)。
水、電解質の異常
 ナトリウムやクロールの蓄積は体内の水分の増加をもたらし、高血圧、浮腫(むくみ)、心不全などを起こします。カリウムの増加は不整脈を、カルシウムやリンの異常は腎性骨異栄養症(じんせいこついえいようしょう)といわれている骨の代謝異常を起こします。
 腎不全によるリン酸、有機酸の蓄積とアンモニアの生成・排泄障害、水素イオンの排泄障害などは、代謝性アシドーシス、骨代謝異常、アルブミンの合成低下、筋力低下などを来します。
血液の異常
 尿毒症に伴う貧血を腎性貧血(じんせいひんけつ)といいます。その主な原因は腎臓で作られている造血ホルモンであるエリスロポエチンの産生不足であり、さらに造血抑制因子や赤血球寿命の短縮、低栄養による鉄・葉酸(ようさん)不足、出血傾向などが関わってきます。
骨代謝異常
 リンの排泄障害により高リン血症、また腎臓のビタミンDの活性障害により、腸からのカルシウム吸収や骨吸収、腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、低カルシウム血症となります。その結果、二次性副甲状腺機能亢進症となり、さらには代謝性アシドーシスも加わって腎性骨異栄養症が発生します。そのため骨折、骨格の変形、骨・関節の痛みが起こります。さらに、異所性石灰化(血管や心臓の弁などの石灰化)などが起こり、生命予後まで悪くします。
免疫の異常
 尿毒症では免疫不全の状態となっているため、感染しやすく、またワクチンなどによる免疫獲得率も弱くなっています。
代謝系の異常
 インスリン抵抗性や膵臓のβ(ベータ)細胞の糖に対する感受性の低下のため、耐糖能異常やインスリン分解能低下が起こって高インスリン血症となります。脂質代謝異常として、中性脂肪分解酵素の低下のため中性脂肪が高値となります。
 また、アミノ酸代謝異常、代謝性アシドーシス、尿毒性物質の蓄積などで体内の蛋白質の分解が亢進している状態であり、さらに食欲不振などによるカロリー不足となり、栄養障害やビタミン不足の状態になりやすいといわれています。
神経と内分泌の異常
 尿毒性物質の貯留によると思われる神経精神異常が認められます。眠気から意識障害や精神症状まで程度も症状もさまざまです。
 内分泌系の障害として、性機能障害(性ホルモンの低下)、成長障害(成長ホルモンの異常)、甲状腺ホルモンの異常も指摘されています。
 以上のように、腎臓が障害されると全身にさまざまな影響を及ぼすことがわかると思います。これらの病態は、必ずしもすべての患者さんに同じように現れるものではなく、尿毒症になった原因の病気やその病態によって異なり、また尿毒症になるまでの治療などによって変わってきます。