尿道下裂とはどんな病気か

 陰茎腹側面(いんけいふくそくめん)の発育に欠陥があり、その近くに外尿道口が開いている状態を尿道下裂といいます。男児外陰・尿道の先天的な異常としては頻度が高く、欧米では男児出生300人に1人といわれています。日本ではやや少ないようですが、最近増加傾向にあります。

原因は何か

 胎生9週ころから男性ホルモン(テストステロン)が分泌され始め、これが陰茎・尿道の形成過程に関係します。尿道下裂の発生には胎児の精巣(せいそう)自体のホルモン産生や作用異常、あるいは外的要因である母体の内分泌環境の変化が関係しています。近年の増加は環境ホルモンの影響が疑われています。
 陰茎亀頭(きとう)の発達はアンドロゲンによって促され、12〜15週ころに1本の尿道となります。この時期に男性ホルモンの作用が障害されると、尿道下裂が生じると考えられます。

症状の現れ方



 出生時に外尿道口が亀頭部の先端に開いていないことで診断は容易ですが、その位置によって、亀頭部、冠状溝部(かんじょうこうぶ)、陰茎振子部(しんしぶ)、陰茎陰嚢部、陰嚢部、会陰部(えいんぶ)に分類されます(図14)。
 外尿道口が会陰、陰嚢などに開く場合、矮小(わいしょう)陰茎や陰茎前位(ぜんい)陰嚢、二分陰嚢(陰嚢が左右に二分した状態)、さらに停留精巣(ていりゅうせいそう)の合併が多くなります。また、外尿道口から包皮小体にかけて陰茎索といわれる結合組織束を伴うため、陰茎は腹側に弯曲することが認められます。

検査と診断

 従来から遺伝的要因、出生前環境因子が本疾患の発生に関係しているといわれています。そのため、家族内発生の有無や母親が妊娠中にプロゲステロンなどのホルモン剤やアスピリン、インドメタシンなどの解熱薬を使用したかどうかなどの聴取を行います。
 家族内発生をみた場合には、半陰陽(はんいんよう)と区別するために染色体検査、ホルモン検査、内性器・性腺の確認のために内視鏡検査を行います。
 合併する異常としては、停留精巣などの陰嚢内容の異常、鼠径(そけい)ヘルニア、心奇形などが多くみられます。また、鎖肛(さこう)、脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)、低出生体重児などに尿道下裂の合併が多いようです。

治療の方法

 基本的には手術による形成術が行われます。治療の目的は正常な排尿(立位による排尿)と将来の性生活にあります。また、患児の男性としての自覚、精神発達に大きな影響を及ぼすため、機能だけでなく美容上の面からも満足するようにすべきです。
 手術は通常、日本では2〜3歳で行われますが、欧米では10カ月前後で行われています。1〜2歳で亀頭・包皮の発育が十分であれば対象になります。矮小陰茎ではテストステロン軟膏などで陰茎の発育を促します。
 形成術には、索の切除をまず行ってから形成術を行う二期手術と、一期的に行う手術とがあり、200以上の術式があるといわれています。近年は縫合糸・マイクロ機器の発達で一期手術が多く行われています。

尿道下裂に気づいたらどうする

 手術の時期は1〜2歳以降になりますが、その他の合併奇形の有無を含めて、早期に小児泌尿器科医もしくは小児外科医に相談すべきです。