精巣腫瘍<男性生殖器の病気>の症状の現れ方

 痛みもなく、熱もなく、ある日気がつくと陰嚢(いんのう)のなかの精巣の一部がいつもより硬くごつごつしていたり、全体的にはれて大きくなってきて気づきます。痛くもないし病院で見せるのが恥ずかしいと、はれたのに気づいても医者に行かないで放っておく患者さんも多くいらっしゃいます。このため、病気がかなり進行しておなかがふくらんできたとか、咳(せき)が出て胸が苦しくなったなど、精巣腫瘍の転移による症状のために病院を受診し、しかも精巣がはれていることを申告してくれないため原因がわからずに泌尿器科以外の科にかかり、他の治療を受けたのちに精巣腫瘍が原因だったとあとでわかることも実際にある話です。また、精巣に痛みを伴う患者さんも1割くらいはいますので、痛いからがんではない、というわけではなく注意が必要です。

精巣腫瘍<男性生殖器の病気>の診断と治療の方法

 まず精巣を腫瘍ごと摘出します。陰嚢を切開せず、おなかの下のほうに傷ができるやり方で、高位除精巣術(こういじょせいそうじゅつ)(高位除睾術(こういじょこうじゅつ))と呼ばれます。精巣は左右一対ありますから、片方を摘出しても、もう一方が正常に機能していれば精子は十分作られますので、不妊症にはなりません(精巣腫瘍の患者さんは、残すほうの精巣でも精子を作る能力が元来低下している場合がありますが)。また、精巣の機能として男性ホルモンを作る能力も重要ですが、こちらもひとつで十分ですから勃起能(ぼっきのう)などが衰えることはありません。
 検査によって転移が見つかった場合、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンという3種の抗がん薬による治療が追加されます。1回5日間の点滴を3〜4週間おきに繰り返すやり方で、病状にもよりますが3〜4回行うことが標準的です。セミノーマという種類のがんの場合は放射線治療も有効です。
 これらの治療で転移があるような進んだがんの患者さんでも7〜8割の人が完治するようになりました。逆にいうと残りの2〜3割の人は通常の治療法では完治しにくいので、薬を変えたり、量を増やしたり、手術を追加したりといろいろな手段をつくして完治をめざします。また、転移が見つからないような初期のがんの人でも、将来2〜3割に転移が現れるので、予防的な抗がん薬投与や放射線治療を行う場合があります。転移のある患者さんの、私たちの施設での治療方針を図5に示します。