陰嚢水腫、精索水腫とはどんな病気か

 精巣、精巣の血管および精管をおおっている鞘膜(しょうまく)という袋に液体がたまった状態です。陰嚢部の鞘膜にたまった場合が陰嚢水腫で、それより頭側の精索部にたまった場合が精索水腫です。それぞれ陰嚢、陰嚢上部や鼠径部(そけいぶ)がはれてきます。あらゆる年齢でみられますが、小児とくに乳幼児ではよくみられる病気です。

原因は何か

 停留精巣(ていりゅうせいそう)の項でも述べますが、精巣が陰嚢に下降してくる過程で腹膜の一部が精巣にくっついてきます。正常の状態では腹膜は本来突起状になって閉じていますが、これが閉じずに開いて腸が出入りするのが鼠径(そけい)ヘルニアで、陰嚢またはその上方の精索をおおっている鞘膜に液体がたまった状態が陰嚢水腫または精索水腫です。


 このように小児の陰嚢水腫、精索水腫の場合は鞘膜の一部が腹膜と交通している(つながっている)ことが多く、交通性陰嚢水腫、精索水腫といいます(図6)。

症状と診断

 通常は陰嚢水腫では陰嚢に、精索水腫では陰嚢上部か鼠径部に痛みを伴わない腫脹(しゅちょう)(はれ)を認めます。硬くなく弾力性に富み、ペンライトなどで光を当てると光が透(す)けて見えます。
 交通性陰嚢水腫の場合は、大きさが時間帯や日によって大きく異なるのが特徴です。朝よりも、立位で腹圧が長時間かかった午後のほうが大きくなります。外鼠径ヘルニアの場合はやや硬く、ペンライトを当てても透けては見えません。水腫かヘルニアかを区別するには超音波検査が有効です。
 陰嚢あるいは鼠径部がはれて、おなかを痛がる時は嵌頓(かんとん)ヘルニア(おなかの外に出てきた腸がもどれなくなった状態)の可能性があるので、至急専門医(外科、泌尿器科)の診察を受けましょう。

治療の方法

 大人の場合は、なかの液体を注射器で吸引することもありますが、効果は一時的で、またたまってきます。根本的に治すには、手術で水のたまった袋(鞘膜)を切除する必要があります。大人の場合、通常は腰椎(ようつい)麻酔で行い、3〜5日の入院になります。そのほか、麻酔下で硬化剤を注入する方法もありますが、交通性が疑われる場合は腹腔内へもれ出る可能性があるので行いません。
 小児では、2〜3歳までは自然治癒の可能性が高いので経過観察します。内容液の吸引は疼痛を伴い、根本的な解決にはならないのですすめられません。3〜4歳以降では、大きくなって本人が気にしたり歩きづらい場合には手術を行います。手術は全身麻酔下で、大人と同様に袋(鞘膜)を切除しますが、交通性のことが多いので陰嚢ではなく鼠径部で切開して、袋も閉鎖し、鼠径ヘルニアを予防します。