甲状腺機能低下症<内分泌系とビタミンの病気>の症状の現れ方

 甲状腺ホルモンは、全身の代謝を維持するのに重要なホルモンです。このホルモンが低下すると活動性が鈍くなり、昼夜を問わず眠く、全身の倦怠感(けんたいかん)が強く、記憶力や計算力の低下がみられます。また、体温が低くなり、皮膚が乾燥して、夏でも汗をかかなくなります。顔はむくみやすくなり、脱毛が起こり、カツラが必要になることもあります。声が低音化してしわがれるのも特徴です。体重は増え、便秘になり、無月経になることもよくあります。
 甲状腺は多くの場合はれていますが、萎縮性(いしゅくせい)甲状腺炎といってまったく甲状腺のはれがなく、高度の甲状腺機能低下症になることもあります。
 顔や手足がむくみやすくなるのは、ムコ多糖類(たとうるい)という物質が皮下にたまるからで、そのために押してもへこまない浮腫(ふしゅ)(むくみ)が起こり、粘液水腫といわれる理由になっています。また、眉毛の外側3分の1が抜けるのが特徴です。アキレス腱をハンマーで叩いて反射をみると、もどる時の動きがゆっくりになります。

甲状腺機能低下症<内分泌系とビタミンの病気>の診断と治療の方法

 甲状腺機能低下症の治療は簡単で、どのような原因でも甲状腺ホルモンの投与を行います。甲状腺ホルモンとして、昔は乾燥甲状腺末なども使われていましたが、現在ではサイロキシン(チラージンS)の錠剤で治療するのが一般的です。甲状腺ホルモン薬は食事や他の内服薬の影響をさけるために、寝る前に服用をするようにします。甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンを測定して、正常域に入ればあとはその量を長期に服用するだけで、薬の副作用が起こることはありません。
 なお、橋本病による甲状腺機能低下症でも、回復して甲状腺ホルモンの服用が必要なくなることもあるので、定期的に検査をしながら中止できないかどうかを調べていきます。