先天性甲状腺機能低下症とはどんな病気か

 生まれつき甲状腺が十分に形成されなかったり、甲状腺ホルモンを合成する過程に先天性の異常があったりして、甲状腺ホルモンが不足する病気です。

症状の現れ方

 甲状腺ホルモンは、新生児期から乳幼児期にかけては脳の発育に必須であり、これが不足すると知的発達の障害を来します。また、甲状腺ホルモンは骨、肝臓など、体の多くの臓器・組織の機能を維持するのに重要です。そのため、生まれた時から甲状腺ホルモンが不足していると、知的障害のほか、活動性の低下、低体温、心拍数の減少・心機能の低下、遷延性黄疸(せんえんせいおうだん)、哺乳(ほにゅう)不良、体重の増加不良などの症状を示します。
 新生児期に発見されて治療を受けないと、知的障害や低身長などの成長発達障害を示します。この状態になったものはクレチン病と呼ばれ、治療しても完全には正常になりません。したがって何よりも、早期の診断と適切な治療開始が必須になります。

検査と診断

 現在、日本では先天性甲状腺機能低下症の早期発見のための検査が、新生児マススクリーニングに組み込まれています。生後3〜5日めの新生児の足の裏のかかとから少量の採血をして乾燥濾紙(ろし)に染み込ませたあと、この血液を検査センターに集めて甲状腺刺激ホルモン(TSH)を検査します。この検査でTSHが異常に高ければ、先天性甲状腺機能低下症の可能性があるので再検査になり、さらに疑いが強くなれば小児内分泌科専門医の診察を受けます。

治療の方法

 甲状腺ホルモンの服用だけで大丈夫です。甲状腺機能低下症の臨床症状が出る前に治療が開始されれば、知能に関しても正常な甲状腺機能をもつ子どもと変わりなく育つことがわかっています。

先天性甲状腺機能低下症に気づいたらどうする

 先天性甲状腺機能低下症の発生頻度はおおよそ出生数4000人に1人ですが、現在では新生児マススクリーニングにより早期に発見されるので、知能障害を起こすような症例はまれになりました。内分泌専門の小児科医にかかるのがよいでしょう。