褐色細胞腫とはどんな病気か

 副腎(ふくじん)は、外側を取り巻く皮質(ひしつ)と、その内側にある髄質(ずいしつ)に分かれています。褐色細胞腫は、副腎髄質あるいは脊髄(せきずい)に沿った交感神経節(こうかんしんけいせつ)細胞にできる腫瘍(しゅよう)です。腫瘍からはカテコールアミンというホルモンが分泌され、このホルモンの作用でさまざまな症状が現れます。
 大部分は良性ですが、時に悪性の場合もあります。良性か悪性かの判断は難しく、慎重に経過を追う必要があります。また、遺伝的にこの病気になりやすい家系もあり、その場合は小児期から定期的な検査が必要になる場合もあります。

原因は何か

 前述のとおり、一部の患者さんに遺伝との関係が認められますが、多くは明らかな原因もなく腫瘍が発生します。

症状の現れ方

 代表的な症状はカテコールアミンが多く分泌されることによる高血圧、頭痛、発汗過多、代謝亢進(こうしん)、血糖の上昇です。そのほか、動悸(どうき)、やせ、便秘、胸痛、視力障害などもしばしば起こります。
 高血圧などの症状が常にある患者さんもいますが、半数以上の人はこれらの症状が発作的に現れます。発作は姿勢(腹ばいや前屈など)、食事、排便、腹部の触診など腫瘍が圧迫されるような状況で誘発されることがあります。まれに、発作のために急激に血圧が上がったり脈が速くなったりして、心不全や出血の危険性が高まることもあります。

検査と診断

 症状から褐色細胞腫が疑われれば、血液中および尿中のホルモンを測定します。発作中に血液検査ができる場合は診断に有用ですが、発作が起きていない時は、血液中のカテコールアミン濃度は正常値を示すこともあります。
 このため発作直後の尿中あるいは1日中ためた尿中のカテコールアミンやその関連物質を測定します。腫瘍の部位を明らかにするためには腹部の超音波やCTなども行われますが、MRIや核医学検査(MIBGシンチグラフィ)がしばしば有効です。
 家族歴などから、遺伝的要因が関係した褐色細胞腫が疑われた場合は、遺伝子の検査が望まれる場合があります。遺伝子の検査は倫理的な問題もありますが、その後の検査・治療方針を決めるうえで有意義です。

治療の方法

 根本的な治療は腫瘍を摘出することです。手術の前には、カテコールアミンの作用を阻害する薬(α(アルファ) 受容体拮抗薬など:一般的に降圧薬として使用している薬剤)を投与し、血圧を正常に近づけます。また経過中、症状が強い時も同剤を投与して血圧などをコントロールします。

褐色細胞腫に気づいたらどうする

 発作的な血圧上昇、発汗、動悸、頭痛などがしばしば起こる場合は、内分泌を専門とする病院に受診してください。