こうりにょうほるもんぶんぴついじょうしょう(えすあいえーでぃーえいち)抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の症状や原因・診断・治療方法と関連Q&A
英語/英訳:Syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone (SIADH)
- 出典|「六訂版 家庭医学大全科」株式会社法研発行
- 総合監修者
-
-
-
各編別監修者|内分泌系とビタミンの病気|須田俊宏 - 弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学・教授
-
執筆者|
須田俊宏 - 弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学教授
-
蔭山和則 - 弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学講師
抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)とはどんな病気か
- 下垂体からの抗利尿(こうりにょう)ホルモン(ADH)の分泌調節機能が損われ、血管内の水分が過剰にもかかわらず、抗利尿ホルモンの分泌が抑制されない状態をいい、血管内の水分貯留と希釈性低ナトリウム血症が生じます。
抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の原因は何か
- 原因は多種にわたります。
- 脳の外傷、脳卒中、出血、腫瘍(しゅよう)や脳炎による抗利尿ホルモンの分泌調節の異常によることがあります。
- 肺がんや膵臓(すいぞう)がんが抗利尿ホルモンを分泌することもあります。
- その他、肺炎や薬が原因でも生じることがあります。
抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の症状の現れ方
- 浮腫(ふしゅ)(むくみ)はなく、血中ナトリウムの低下の程度により、意識状態に変化がみられます。
- 血中ナトリウムがある程度まで低下すると、食欲不振、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、性格の変化などが起こります。
- さらには、精神錯乱(さくらん)、けいれん、昏睡(こんすい)状態に至ります。
抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の検査と診断
- 血中ナトリウムと浸透圧が低下し、一方、尿中の浸透圧が血中よりも高値を示し、ナトリウム排泄も低下しません。
- 血中抗利尿ホルモンは低浸透圧にもかかわらず、相対的に高値を示します。
- 水負荷試験といって、体重あたりで決められた量の水を飲み、採尿、採血して、浸透圧と血中の抗利尿ホルモンの変動を調べることがあります。
- 血中浸透圧は低値で、尿中浸透圧は高値の状態が続きます。
抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の治療方法
- 水分摂取の制限が基本となります。
- 1日あたり1l程度まで水分が制限されます。
- ほかに、抗利尿ホルモンのはたらきを抑える薬剤が有効なこともあります。
抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)に気づいたらどうする
- 予後は原疾患によって左右されます。
- 低ナトリウム血症が進むと、死に至る危険があります。
- 老人に多くみられ、治療中の基礎疾患が原因のこともあるので、通院中の人は担当医に相談してください。