脂質異常症(高脂血症)<代謝異常で起こる病気>の症状の現れ方

 多くの場合、症状はないので、血液検査で初めてわかることがほとんどです。家族性高コレステロール血症ではアキレス腱肥厚(けんひこう)、腱黄色腫(けんおうしょくしゅ)(手の甲、肘(ひじ)、膝(ひざ)の腱にできる硬い盛り上がり)、眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)(まぶたにできる黄色い斑点状の盛り上がり)、角膜輪(かくまくりん)(黒目の周囲にできる白い輪)がみられることがあります。
 とくにアキレス腱肥厚は最も多くみられる症状で、アキレス腱の厚みが1cm以上あって血中コレステロール値の高い場合は、家族性高コレステロール血症である可能性が高いと考えられます。家族性III型高脂血症でも典型的な場合は、腱黄色腫や手掌(しゅしょう)線状黄色腫(手筋が黄色く盛り上がる)ができます。

脂質異常症(高脂血症)<代謝異常で起こる病気>の診断と治療の方法

 脂質異常症を治療する目的は動脈硬化の予防なので、禁煙など、脂質異常症以外の動脈硬化危険因子の治療を同時に行うことが重要です。また、治療の目標値も他の危険因子をいくつもっているかにより異なります(表21)。
 脂質異常症の原因の多くは生活習慣なので、その改善が第一です。食事療法は血清脂質の是正とともに冠動脈硬化の危険因子である糖尿病高血圧、肥満の治療も目的とするものです。まず、第一段階では、総エネルギーとともに栄養素配分を適正化します(表22)。この食事療法で目標値にならない場合はより厳しい食事療法を行う必要があるので、医師や栄養士に相談します。
 適正体重の維持(体重kg(身長m)の2乗=22を標準とする)、腹囲の適正化(男性85cm未満、女性90cm未満)、身体活動の増加(速歩、ジョギング、水泳、サイクリングなどを1日30〜60分、週3回以上)も重要です。
 生活習慣の是正を3〜6カ月続けても目標値に達しない場合は薬物療法を行います。ただし家族性高脂血症は早くから薬物療法を行う必要があります。
 現在、脂質異常症治療薬(高脂血症薬)にはいくつかの種類がありますが、高コレステロール血症にはHMG‐CoA還元酵素阻害薬(一般にスタチンと呼ばれている)が最も多く使われています。この種類の薬はコレステロールの合成を抑制するものです。その他にもコレステロールの吸収阻害薬やレジンと呼ばれる陰イオン交換樹脂やプロブコール、ニコチン酸誘導体も使われます。
 高トリグリセリド血症にはフィブラート系薬物のベザフィブラートやフェノフィブラートが有効です。また、EPA(エイコサペント酸エチル)はトリグリセリドを下げる薬ですが、血管に直接はたらいて抗動脈作用を示すともいわれています。
 これらの薬はいずれも副作用は比較的少ないものですが、まれに筋肉や肝臓の障害などを起こすことがあるので、医師の指示に従ってきちんと服用してください。