慢性骨髄性白血病<血液・造血器の病気>の症状の現れ方

 慢性期では、全身のだるさ、体重減少、皮膚のかゆみなどのほかに、肝臓あるいは脾臓(ひぞう)の腫大による腹部膨満感(ぼうまんかん)を自覚することがあります。そのほか、胃潰瘍を合併することもあります。しかし、自覚症状がない段階で、健康診断などにより白血球増加を指摘されて発見されることもしばしばあります。
 急性期(急性転化)では、動悸(どうき)・息切れ・全身のだるさなどの貧血症状、皮下出血・鼻血・歯肉出血などの出血症状、発熱などの感染症状のほか、関節痛、骨痛などが現れる場合があります。

慢性骨髄性白血病<血液・造血器の病気>の診断と治療の方法


(1)慢性期

・イマチニブ(グリベック)
 BCRABL蛋白のはたらきを抑える薬です。慢性期の症例に対して極めて優れた効果があり、服用を続けた場合には、図10に示したように、血液学的改善およびフィラデルフィア染色体陽性細胞数が減少する確率が非常に高いのが特徴です。
 高価であるなどの問題がありますが、その優れた治療成績により、最初に選択される薬になっています。しかし、十分な効果を得ることができなかったり、副作用(表12)により服用を中止せざるをえない例が約20%にみられます。
 また、この薬のみで完治することは難しいと考えられていることから、効果がある場合でも、長期間にわたり服用を続けることが必要とされています。

・ダサチニブ(スプリセル)、ニロチニブ(タシグナ)
 イマチニブと同様にBCRABL蛋白のはたらきを抑える新しい薬です。高価であり、また胸水や心電図異常などの副作用が現れる場合もありますが、イマチニブが効かない場合や、副作用によりイマチニブを続けることができない例などで効果が期待されています。

・インターフェロン
 イマチニブと比較すると効果が得られる確率は劣りますが、インターフェロン療法によりフィラデルフィア染色体陽性の細胞数が減少した症例では、生存期間の延長が報告されています。
 問題点としては、注射薬であることから長期間にわたり自己注射が必要であること、副作用(表13)により継続が困難になる例が約20%あることなどがあげられます。

・経口抗がん薬
 経口抗がん薬であるブスルファン(マブリン)、ハイドロキシウレア(ハイドレア)が白血球数および脾腫のコントロールを目的として使用されることがあります。しかし、この治療法により最終的に病気の進展を防ぐことは困難と考えられています。

・造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)移植
 現在のところ、治癒をもたらしうることがわかっている唯一の治療法です。この治療法を選択するためには、年齢の制限(通常は50〜55歳以下)のほか、白血球の型が一致したドナー(骨髄血(こつずいけつ)を提供する人)がいることが必要です。また、移植に伴う合併症の危険もあることから、その適応は慎重に検討されます。
 最近、移植時に行う前処置の治療毒性を軽減した非破壊性(ひはかいせい)造血幹細胞移植も試みられています。

(2)急性期
 急性期に対しては、投与量を多くしたイマチニブ療法、急性白血病と同様の抗がん薬による化学療法などが試みられます。イマチニブの効果が不十分な例に対してはダサチニブも用いられます。
 造血幹細胞移植については、慢性期での移植と比較すると治療成績が著しく劣るため、適応については非常に慎重に検討されます。