本態性血小板血症とはどんな病気か

 慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)などと同じく、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)(すべての血液細胞のもとになる細胞)が腫瘍化して発生する血液腫瘍(けつえきしゅよう)疾患です。とくに、血小板のもとになる巨核球(きょかくきゅう)の腫瘍性増殖が特徴的で、結果として末梢血における血小板数が著しく増加します。
 健康診断などで血小板増加が指摘されるほかに、出血あるいは血栓症状(一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)など)により発見される場合があります。

原因は何か

 巨核球の腫瘍性増殖が起こる原因については、詳しくはわかっていません。しかし、約半数の例では真性多血症と同じくJAK2遺伝子の異常が認められており、この異常が発症に関わっていると考えられています。
 慢性骨髄性白血病と異なり、フィラデルフィア染色体(慢性骨髄性白血病)の形成は認められません。また、いわゆる遺伝性の病気ではなく子孫への影響はありません。

症状の現れ方



 血小板増加に伴う血栓(血管内での血の塊)症状を示す場合と、出血症状を示す場合とに大きく分けられます(表14)。約1割程度の症例で出血症状と血栓症状の両方がみられます。一方、無症状の場合も、めずらしくありません。
 出血症状があっても、脳出血などの重い合併症を起こすことはまれですが、血栓症状があると、時に心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)のような重大な合併症を起こすこともあります。
 急性期への進展はまれですが、進展した場合には出血症状や貧血症状(動悸・息切れ・全身のだるさなど)、感染症状(発熱など)が現れます。

検査と診断

 血液検査で、血小板数の著しい増加が認められます。一方で、血小板のはたらきの低下がみられ、血小板凝集能(ぎょうしゅうのう)検査などで異常が認められます。さらに、白血球数の増加を伴うことが多く、幼若な白血球を認めることもあります。通常、貧血は起こりません。脾臓(ひぞう)がはれて大きくなる場合がしばしばあります。

鑑別診断



 血小板は、多くの病気に伴って増加する可能性があり(反応性血小板増多症(はんのうせいけっしょうばんぞうたしょう)、表15)、本態性血小板血症と反応性血小板増多症との鑑別が重要になります。一般的に、反応性血小板増多症では白血球の増加を伴わず、血小板凝集能などの血小板機能検査も正常です。また、出血症状あるいは血栓症状を示すことも本態性血小板血症と比較してまれです。
 一方、腫瘍性の血小板増加を起こすものとしては、本疾患のほかに慢性骨髄性白血病骨髄線維症(こつずいせんいしょう)、真性多血症(しんせいたけつしょう)などの慢性骨髄増殖性(こつずいぞうしょくせい)疾患と呼ばれる一連の病気があります。とくに慢性骨髄性白血病との鑑別が重要になりますが、本態性血小板血症では慢性骨髄性白血病と異なり、フィラデルフィア染色体およびBCRABL遺伝子を認めず、好中球アルカリフォスファターゼ活性も低下しません。
 骨髄線維症、真性多血症とは、骨髄の状態(線維化の有無)、循環赤血球量などにより鑑別します(骨髄線維症真性多血症)。

治療の方法

 血小板数のコントロールと血小板のはたらきを抑える治療が主となり、症状、年齢に応じて選択します。無症状で、血小板数がそれほど多くない場合には、無治療で経過を観察することもあります。
(1)抗血小板薬
 血栓症の予防のために使用されます。アスピリン(バイアスピリン)、チクロピジン(パナルジン)が主として使われます。
(2)経口抗がん薬
 血栓による重大な合併症を起こす危険性が高い例や、血小板数が著しく高い(主に100万〜150万μl以上)例が対象となります。血小板数のコントロールを目的として、ハイドロキシウレア(ハイドレア)、ブスルファン(マブリン)などが使用されます。

生活での注意

 食事、運動、旅行など日常生活全般についての制限はほとんどありませんが、出血症状が強い場合には外傷に気をつける必要があります。治療の有無を問わず、定期的な血液検査を受けることが大切です。