骨髄線維症とはどんな病気か



 骨髄線維症は、慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)真性多血症(しんせいたけつしょう)本態性血小板血症(ほんたいせいけっしょうばんけっしょう)とともに、慢性骨髄増殖性疾患というグループに属する血液腫瘍(けつえきしゅよう)です。腫瘍細胞によって骨髄に線維化という変化が起こるため、骨髄の代わりに脾臓(ひぞう)や肝臓で血液が産生されるようになる(髄外造血)のが特徴です(図11)。
 白血球数の増加のほか、初期には血小板数も増加する傾向があります。一般的にこの病気の進行は緩慢ですが、進行すると逆に貧血や血小板数の低下が著しくなります。一部の例では、急性白血病と類似の病像を示す急性期(急性転化)へと進展することがあります。

原因は何か

 腫瘍細胞が発生する原因については、詳しくはわかっていません。しかし、約半数の例では真性多血症と同じJAK2遺伝子の異常が認められており、この異常が発症に関わっていると考えられています。慢性骨髄性白血病と異なり、フィラデルフィア染色体(慢性骨髄性白血病)の形成は認められません。また、いわゆる遺伝性疾患ではなく、子孫への影響はありません。

症状の現れ方

 脾臓のはれによる腹部の圧迫、膨満感(ぼうまんかん)が比較的多く現れます。一方、無症状の段階で健康診断などにより、血液所見の異常を指摘されて発見されることもしばしばあります。
 貧血が進行すると、倦怠感(けんたいかん)、動悸(どうき)、息切れなどの症状が目立つようになり、血小板数が低下すると皮下出血・鼻血・歯肉出血などの出血症状を認めます。

検査と診断

 初期では白血球数が増加し、慢性骨髄性白血病と同じように幼若な細胞から成熟した細胞まで、すべての段階の白血球が認められるのが特徴です。さらに、幼若な赤血球系の細胞(赤芽球(せきがきゅう))や変形した赤血球も認めます。また、脾臓のはれがしばしばみられます。
 確定診断のためには、骨髄の組織の一部を採取して調べる生検によって骨髄の変化(線維化)を証明する必要があります。骨髄の線維化は、白血病悪性リンパ腫などのほかの血液腫瘍、あるいはがんの骨髄転移によっても起こります。また、膠原病(こうげんびょう)や結核(けっかく)などが原因になる場合もあるので、これらの病気を除外する必要があります。
 一方、この病気の初期段階では慢性骨髄性白血病と血液検査の所見が類似していることがあります。慢性骨髄性白血病と区別するためには、骨髄生検の結果のほかに、フィラデルフィア染色体およびBCRABL遺伝子を認めないこと、一般的に好中球(こうちゅうきゅう)アルカリフォスファターゼ活性が低下しないことが重要になります(慢性骨髄性白血病)。

治療の方法

 根本的な治療法はまだ確立されていません。輸血療法や経口抗がん薬の投与などが症状に応じて選択され、条件が整えば造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)移植も考慮されます。
(1)経口抗がん薬
 白血球や血小板の増加が著しく、脾臓のはれが目立つ場合に、メルファラン(アルケラン)、ハイドロキシウレア(ハイドレア)などの経口抗がん薬が使用されます。
(2)輸血療法
 貧血や血小板減少が進行した場合に行われます。
(3)造血幹細胞移植
 治癒を目的として行われる唯一の方法です。白血球の型が一致したドナー(骨髄血を提供する人)がいることなどの条件が整えば選択肢のひとつとなります。しかし、移植に伴う合併症の危険についても十分に考慮する必要があり、その適応は慎重に検討されなければなりません。比較的高齢者が多いため、移植時に行う前処置の治療毒性を軽減した非破壊性造血幹細胞移植も試みられています。

生活での注意

 食事、運動、旅行など日常生活全般についての制限はほとんどありませんが、定期的に血液検査を受けることが必要です。脾臓のはれがある場合には、腹部の圧迫などに注意します。また、薬剤の副作用が疑われるような症状が現れた場合には、すみやかに医療機関を受診する必要があります。