播種性血管内凝固症候群(DIC)<血液・造血器の病気>の症状の現れ方

 DICでは、全身に多発する血栓形成に伴って血小板や凝固・線溶(せんよう)因子の消費・欠乏状態を起こして、皮膚の紫斑(しはん)や点状出血、静脈注射痕からの出血、下血、血尿など全身の出血傾向を生じます。
 また、多発する微小血栓のために虚血性(きょけつせい)循環障害を生じ、さまざまな臓器症状(腎臓での乏尿、無尿、肺での呼吸困難、消化管では急性潰瘍による下血、中枢神経系では意識障害など)を生じ、進行すると多臓器不全で死に至ることもまれではありません。

播種性血管内凝固症候群(DIC)<血液・造血器の病気>の診断と治療の方法


(1)DIC基礎疾患の治療
 原因となる基礎疾患の治療が極めて重要です。しかし、基礎疾患の除去は容易でなく、しかも時間のかかる場合が多く、実際には抗凝固療法などによりDICをコントロールしつつ基礎疾患の治療を行うことが必要になります。

(2)抗凝固療法
 DICでは、基礎疾患により引き起こされた過凝固(かぎょうこ)状態を制御するために抗凝固療法が必要です。一般的薬剤として、アンチトロンビン(AT)と結合してATの抗トロンビン作用を著しく促進するヘパリンがあります。
 しかし、ヘパリンには出血症状を助長する副作用があり、その軽減を目的に開発された低分子量ヘパリン(フラグミン)、あるいは生体内細胞外マトリックス成分のひとつであるヘパラン硫酸を主成分とするヘパリノイド製剤(オルガラン)や血管内皮に存在するトロンボモジュリンの遺伝子組換え型製剤(リコモジュリン)が使われています。
 また、セリンプロテアーゼであるトロンビンなどの活性化凝固因子の阻害作用をもつメシル酸ガベキサート(エフオーワイ)とメシル酸ナファモスタット(フサン)もDICの治療薬として使われています。ヘパリンに比べて抗凝固活性は弱いものの、高サイトカイン血症を伴う敗血症によるDICの病態には有効性が期待できます。

(3)補充療法
 DICの消費性凝固障害のために出血傾向が顕著な時には、抗凝固療法を十分に行いつつ、濃厚血小板(PC)、新鮮凍結血漿(けっしょう)(FFP)、あるいは濃縮AT製剤(アンスロビンPまたはノイアート)などを適宜投与して血液成分補充を行う必要があります。