瘢痕性類天疱瘡(良性粘膜類天疱瘡)とはどんな病気か

 皮膚の症状は水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう)に似ていますが、症状はそれほど激しくはないか、時には症状がないこともあります。水疱は傷あと(瘢痕(はんこん))を残して治ることと、眼や口の粘膜に症状が現れて、そこがひきつれ(瘢痕)になってしまう点が特徴です。
 良性粘膜性類天疱瘡というと、水疱性類天疱瘡よりタチがいいもののように考えてしまいそうですが、必ずしもそうではありません。昔は、皮膚にたくさんの水疱が出る水疱性類天疱瘡は、そのままでは死亡率が高かったのに比べ、瘢痕性類天疱瘡では皮膚の症状が軽いために死に至らないことが多かったので良性といわれました。
 しかし、類天疱瘡による死亡率が低下した現在では、瘢痕による失明などが起こったり、治りにくい口の潰瘍(かいよう)(口腔(こうくう)潰瘍)を示す瘢痕性類天疱瘡のほうが、長い目でみるとタチが悪いといえるかと思います。

原因は何か

 原因となる自己抗原(じここうげん)がいくつかあることがわかってきていますが、根本は、患者さんの血液のなかに含まれる免疫グロブリンという蛋白質の一部です。
 免疫グロブリンは、本来はウイルスやばい菌と闘うために私たちの体のなかにある蛋白質ですが、その一部が自分の皮膚や粘膜と闘いだすために、皮膚や粘膜が傷んでしまいます。攻撃される自己抗原は複数あり、ヘミデスモゾーム、ラミニンなどです。

症状の現れ方

 口のなかや鼻・眼の粘膜に赤み(紅斑(こうはん))やただれ(びらん)ができて、治りにくい状態を続けることで発症することが多いのですが、口のなかでは水疱として発症することもあります。皮膚の症状は、あったとしても軽く、水疱の形成がみられます。まぶたのびらんは癒着(ゆちゃく)を起こして失明に至ることもあります。

検査と診断

 皮膚を小さく切り取って(皮膚生検)、ひとつは組織検査で水疱のできている場所が表皮の下であることを顕微鏡で観察します。しかし、きれいな水疱が残っていることは少ないので、これを証明するためには繰り返して検査が必要になることがよくあります。もうひとつ皮膚をとって、蛍光(けいこう)抗体直接法で基底膜に免疫グロブリンがあることを証明し、血液の検査で蛍光抗体間接法を行います。
 しかし検出率は水疱性類天疱瘡とは違ってだいぶ低く、たとえば蛍光抗体間接法での検出率(この病気の人で検査結果がプラスに出る割合)は30%以下です。そのため、この病気ではないかと疑ってから確定診断するまでに長くかかることがありうる病気です。

治療の方法

 重症度によって治療法が変わります。軽症では、DDS(レクチゾール)やテトラサイクリンとニコチン酸アミドの併用、中等症や重症では、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)薬を使います。急速に進行する時には、ステロイドパルス(大量に使用する治療法)や免疫抑制薬を使います。
 最近の考え方では、免疫抑制薬と副腎皮質ホルモン薬の同時投与を第一選択とする考え方があります。

瘢痕性類天疱瘡(良性粘膜類天疱瘡)に気づいたらどうする

 眼や口の治りにくいびらんで始まることが多いので、多くの患者さんは初めに眼科や歯科に行って、そこからの紹介で皮膚科を受診することが多いようです。治りにくいびらんでは、おのおのの科の専門医のいる病院がよいと思われます。
 皮膚に水疱があって、眼や口の治りにくいびらんがある時には、皮膚科専門医に診てもらってください。