尋常性魚鱗癬とはどんな病気か



 全身性に皮膚が乾燥し、魚のうろこ状の鱗屑(りんせつ)(皮膚の表面から剥離(はくり)しつつある角質)ができる角化症(かくかしょう)(皮膚の最表層の部分が厚くなる病気)です(図18)。臨床症状が軽い場合には、乾皮症(かんぴしょう)と呼ばれることもあります。

原因は何か

 遺伝性で、常染色体準優性遺伝(じょうせんしょくたいじゅんゆうせいいでん)形式をとります。ホモ型あるいは複合ヘテロ接合体型の遺伝子変異により、皮膚の角化関連蛋白であるフィラグリンが高度に減少すると重症型の尋常性魚鱗癬となり、ヘテロ型の遺伝子変異でフィラグリンの産生量低下が軽度にとどまると、軽症の尋常性魚鱗癬が発症します。
 生化学的な検索では、フィラグリンが著しく減っていることが報告されています。電子顕微鏡を用いた観察でも、正常ケラトヒアリン顆粒(かりゅう)(表皮の顆粒層にみられる不定形顆粒でフィラグリンが多く存在する)が消失していることがわかっています。
 フィラグリンは、角質の水分保持に重要なはたらきをしています。フィラグリンが減少しているため皮膚が乾燥します。

症状の現れ方

 生まれた時には病変はなく、乳幼児期になってから発症します。全身の皮膚が乾燥し、粗造(そぞう)になってきます。この症状は四肢の伸びる側、とくに下腿の前面に顕著に現れます。肘窩(ちゅうか)(腕の関節の屈曲部)、膝窩(しっか)(膝(ひざ)関節の後面)、外陰部には皮疹(ひしん)はできません。
 白色のヌカのような鱗屑もしくは葉状の鱗屑が、四肢伸側や体幹にみられ、あたかも魚の皮膚のようなうろこ状を示してきます。しばしば毛孔(もうこう)(毛穴)に一致して、角化がみられることがあります。

検査と診断

 生後数カ月してから発症すること、下腿前面にうろこ状の鱗屑を示す病変を認めること、肘窩や膝窩(四肢関節屈曲部)に皮疹を生じないこと、優性遺伝であることなどにより診断は容易です。
 伴性劣性(はんせいれっせい)魚鱗癬、水疱型(すいほうがた)先天性魚鱗癬様紅皮症(こうひしょう)(後述)、後天性魚鱗癬、小児乾燥性湿疹、老人性乾皮症(かんぴしょう)と区別する必要があります。

治療の方法

(1)5%サリチル酸ワセリンを1日2〜3回患部に塗ります。 (2)ビタミンA軟膏を1日数回患部に塗ります。 (3)尿素(にょうそ)軟膏を1日数回患部に塗ります。

 入浴時には脱脂力の弱い低刺激性の石鹸を使用するようにします。保湿入浴剤の使用も効果的です。

尋常性魚鱗癬に気づいたらどうする

 皮膚科専門医を受診して、病気の状態に合った適切な治療と病気についてのアドバイスを受けます。

関連項目

 アトピー性皮膚炎