ほくろ(母斑細胞性母斑・単純黒子)とはどんな病気か



 皮膚のすべての部位にできる黒色の色素斑です。いわゆる“ほくろ”は小さい点状のものを指し、“黒あざ”はやや面積のあるものを指します。これらは平らなものからやや隆起したもの、発毛を伴うものから伴わないものまでさまざまです(図68図69)。


 点状のほくろは生まれた時にはわからないのが、あとになって次第に数が増えてきます。これに対し黒あざは生まれつきあることが多く、時に広い範囲にできたり(先天性巨大色素性母斑)、また剛毛を伴ったり(獣皮様(じゅうひよう)母斑、図70)します。先天性巨大色素性母斑の場合、悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)を生じる可能性が3〜7%あるともいわれ、早めの受診をすすめます。時にまぶたの上、下に母斑が分かれている場合もあり(分離母斑(ぶんりぼはん))、胎生期のまぶたが分離する前から母斑があった場合にみられます。
 最初に黒かったものが次第に褐色から皮膚色になる経過をたどるものもあります。

検査と診断

 特徴的な皮疹(ひしん)なので、ほとんどは見ただけで診断はつきます。ただ色素性母斑自体は良性ですが、皮膚の悪性腫瘍のなかでも悪性度が高い悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)と見分けがつきにくいものも時々あります。
 とくに日本人で悪性黒色腫の発生が多い手掌(手のひら)、足底(足の裏)に成人以降にできた色素斑に気づいたら、専門医とよく相談してください。これらの確定診断は、切除したほくろを病理組織検査することでつくので、切除を受ける場合は病理検査も行うことをすすめます。
 また、最近ダーモスコピーという専用の拡大鏡のような機器で病変部を観察することで良性・悪性の見分けがかなりできるようになりました。

治療の方法

 一般には整容面(見た目)の問題が主になります。治療は外科的に切除するのが一般的です。メスで切除して縫合(ほうごう)したり、とくに顔面の小さいほくろは切除したあと縫わないでしばらく開放創(そう)として自然に治るのを待ったり(くり抜き療法)、最近ではメスの代わりに炭酸ガスレーザーを用いてくり抜いたりします。いずれも多少の傷跡がつくこともあり、治療前に十分相談してください。
 くり抜きは顔面ではあまり目立たないことが多いようですが、他の部位ではくり抜いたところの傷跡が目立つ場合もあります。ただレーザー治療では多くの場合、病変部を焼きとばすので、病理組織検査を行えません。悪性黒色腫と見分けがつきにくい場合もあるので、レーザーを選択する場合は担当医の十分な診断力が必要とされます。また、レーザーによるくり抜きを顔面以外で行った場合、意外にその傷跡が目立つ場合があるので、治療前に担当医と十分相談してください。
 生まれつきの大きな黒あざは悪性黒色腫の合併も視野に入れて治療しますが、大きなあざをとったあとの処置を考えると完全に切除することが困難な症例も多くあります。切除後の治療として植皮したりしなければならず、時にかなり負担の大きな治療になります。大学病院や総合病院の皮膚科、形成外科などで相談するのがよいでしょう。

ほくろ(母斑細胞性母斑・単純黒子)に気づいたらどうする

 小さいほくろは気にならなければそのままでよいでしょう。見た目が気になる場合は皮膚科、形成外科で相談してください。
 なお、とくに成人以降に急にできて、色の変化や大きさの変化が激しい場合、色の濃淡が強い場合、色素斑の境界がはっきりしない(ぼけている)場合などは、たとえ小さくても悪性黒色腫の可能性もあるので早めに受診してください。生まれつきの大きい黒あざも生後早めに医師と相談してください。