ケロイド、肥厚性瘢痕とはどんな病気か

 傷が治る過程において本来、傷を埋めるための組織が過剰に増殖して、しこりになったものがケロイドと肥厚性瘢痕です。組織の過剰増殖が一時的で、傷の範囲内に限られるものを肥厚性瘢痕といい、ゆっくりしながらも持続的・進行性で傷の範囲を超えて周囲に拡大するものをケロイドと呼びます。

原因は何か

 同じ患者さんでも、部位によりケロイドになりやすい部位となりにくい部位とがあり、傷の発生部位や創部にかかる張力、異物の有無などの局所的要因が重要です。また、人種により発生頻度が違うことや、家族内発生の報告があることなどから、遺伝的素因が関係していると考えられます。黒人に多く、白人には少なく、日本人はその中間です。

症状の現れ方



 ケロイドは、胸骨部、肩、上腕の外側、上背部、恥骨(ちこつ)部に発生しやすい病気です。手術やけがの痕(あと)のほか、にきびの痕や本人が気づかないような小さな傷から発生します。表面に光沢のあるやや赤いしこりで、辺縁部はなだらかに隆起し、周囲の皮膚は赤みを帯びています(図79)。
 次第に周囲の赤みを帯びた皮膚も光沢をもちながら隆起し、辺縁へと拡大していきます。ケロイドの拡大とともに中心部はしばしば赤みが少なくなって平らになりますが、元どおりの皮膚にはもどりません。かゆみがあり、横からつまむと痛みもあります。進行はゆっくりしています。
 肥厚性瘢痕は、ケロイドと同様の部位のほかに耳介(じかい)、臀部(でんぶ)、足背などに発生しやすい病気です。見た目はケロイドに似ていますが、傷の周囲の健康な皮膚は侵されず、これを押し拡げるようにして大きくなります。辺縁はしばしば急激に盛り上がっていて、時には基部にくびれがあります。赤みがある間は大きくなる可能性があり、この時期にはかゆみを伴います。けがや手術の痕など明らかな傷跡に発生します。傷が治ったあと2〜3カ月以内に発症し、急速に大きくなりますが、半年から数年たつと小さくなり、やがて平らになります。

検査と診断

 通常は見た目だけで診断できます。他の疾患、とくに悪性腫瘍などの可能性を捨てきれない場合には組織を一部採取して検査します。

治療の方法

 いずれの場合も圧迫療法、薬物治療、外科的治療が主な治療法です。圧迫療法はスポンジ、シリコンゲルシート・クッションなどを局所に当て、サポーター、包帯、粘着テープなどで圧迫する方法です。薬物治療としては、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬を病変部に直接注射する方法が効果的です。トラニラストという抗アレルギー薬の内服が行われることもあります。
 外科的治療においては、単に病変部を切除しただけでは再発して、さらに大きくなることは必至です。肥厚性瘢痕では切除後、局所に生じる張力を減らしたり、張力の作用する方向を変える工夫をすることで再発を防ぐことができます。しかし、ケロイドの場合、これだけでは不十分で、術後早期から放射線治療を行う必要があります。

ケロイド、肥厚性瘢痕に気づいたらどうする

 皮膚科専門医を受診し、病変の大きさや時期に適した治療を受けるようにしてください。