症候性脱毛症とはどんな病気か

 何らかの原因疾患があるために脱毛が起きることです。
 毛は成長期、退行期、休止期を周期的に繰り返して生え変わります。成長期の期間が長いと長い毛になり、成長期が短いと短い毛になります。成長期の長さは年齢、性、体の部位により違います。


 この毛周期(もうしゅうき)に乱れがあると、毛が抜けてしまいます。休止期の毛が増えることにより毛が少なくなるのが休止期脱毛症です(図102)。内分泌疾患、栄養不足、妊娠、薬剤の影響などにより休止期脱毛症になることがあります。

原因は何か

 甲状腺ホルモンは毛周期に影響を与えています。甲状腺の疾患があると成長期の毛に対して休止期の毛の割合が多くなり、休止期脱毛症になります。
 低栄養状態があると毛が抜けます。蛋白、カロリー、ミネラル、ビタミンなどが欠乏して発症します。発展途上国の乳幼児に多くみられます。日本では神経性食欲不振症の患者さんにみられることがあります。消化器系の疾患があると栄養素が吸収できずに栄養不足になり、休止期脱毛症になることがあります。
 薬剤使用中に毛が抜け、頭の毛が薄くなることがあります。抗がん薬により毛が抜けますが、これは休止期脱毛ではなく成長期脱毛です。抗がん薬による脱毛症では成長期の毛が障害を受け、毛が伸びなくなり、抜け落ちます。
 抗がん薬以外の多くの薬剤が休止期脱毛の原因になります。休止期脱毛の原因になりやすい薬剤としてはヘパリンおよびその類似物質、インターフェロン‐α(アルファ)、エトレチネート、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンなどがあります。

症状の現れ方

 頭の毛が1日に50〜100本抜けて休止期になるのは、正常範囲内です。それ以上に毛が抜ける時は、休止期脱毛症の可能性があります。休止期脱毛症では、頭部にびまん性の脱毛が現れます。腋毛(えきもう)、陰毛が抜けることもあります。
 低栄養状態による脱毛症では、脱毛以外に栄養不足を示すやせや皮膚炎などの症状も伴っています。
 抗がん薬による脱毛は、薬剤投与後1〜4週間後に現れます。抗がん薬以外の薬剤性脱毛症では、薬剤投与後2〜4カ月後に脱毛が現れます。

検査と診断

 甲状腺の疾患が疑われる時は血中の甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモンの量を測定します。

治療の方法

 甲状腺機能に異常がある時は、甲状腺疾患の治療を行います。低栄養状態がある時は栄養素の補充を行います。消化器系の疾患による栄養素不足の場合は、基礎になる疾患の治療を行うとともに消化吸収に配慮した食事治療を行います。

症候性脱毛症に気づいたらどうする

 原因となる疾患の治療を早期に行うことが大切です。