黒い爪とはどんな病気か



 正常の爪の色は光沢のあるピンク色ですが、マニキュアなどの外因物質、けが、薬、あるいは皮膚や全身疾患などのさまざまな要因によってその色調は変化します。本項では黒い爪すなわちメラニン色素による爪の黒色変化について記載しますが、爪の解剖用語を説明するための部位別名称を図104に示します。

原因は何か

 爪は伸びるため、爪母(そうぼ)の変化は次第に爪先に移行します。したがって、爪甲(そうこう)の色素沈着が直線状である時は爪母にほくろ(黒子(こくし)あるいは色素性母斑(しきそせいぼはん))があることを意味します。また、そのような爪甲の色素沈着を爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)といいます。
 しかし、爪母付近にほくろ以外のできもの(皮膚腫瘍(ひふしゅよう))ができたりあるいは外的刺激などが加わると、それに影響されて爪の色は濃くなり色素線条を生じます(炎症後色素沈着)。また、不規則な形であったり、爪全体が黒色に変化している時は、爪甲下の出血や異物などを疑います。
(1)爪母のほくろ
(2)ほくろ以外のできもの
 爪組織、とくに爪母付近に生じた悪性のできもの(基底細胞がんボーエン病など)や良性のできもの(粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)やグロムス腫瘍など)。
(3)繰り返す外的刺激
 靴あるいはギターの演奏など。
(4)皮膚疾患
 爪母に病変が及ぶ扁平苔癬(へんぺいたいせん)や線状苔癬(せんじょうたいせん)など。
(5)全身疾患
 内分泌異常(アジソン病クッシング症候群など)、代謝異常(ポルフィリン症栄養失調など)、あるいは、ポイツ・イエーガー症候群や妊娠など。
(6)その他
 手指への放射線治療や紫外線療法など。

症状の現れ方


爪母のほくろ

 幅1mm程度の色素線条として始まり、次第に拡大しその色調も濃くなります。時には爪甲全体に拡大するばかりか、後爪廓(こうそうかく)の皮膚にも色素斑がみられることもあります。また、手の黒色爪変化は親指に生じることが多く、次いで人差し指や薬指ですが、足ではほとんどが親趾の爪です。

治療の方法

 全指に爪甲色素線条がみられた時は、原因となりうる病気があるか否かを検査します。また、指1本の場合は、爪母のほくろ以外にも、爪母付近に生じた悪性のできものや良性のできもの、あるいは外的刺激などを疑います。
 なお、爪の色が爪母のほくろによると考えられ、その横幅が6mm以上であるか、爪廓部(そうかくぶ)や指尖部(しせんぶ)に黒褐色斑(こっかっしょくはん)(ハッチンソン徴候)を伴う色素線条であれば、ほくろのがん(悪性黒色腫)の可能性があります。しかし、子どもではたとえ横幅6mm以上であっても、あるいは、ハッチンソン徴候があろうとも、自然に軽快ないし消退することが多いので、そのまま経過をみています。