結核性髄膜炎とはどんな感染症か

 結核菌の感染によって生じる髄膜炎で、現在でも死亡率の高い病気です。約2週間の経過で頭痛、発熱、意識障害が進行し、失明、難聴水頭症(すいとうしょう)などの重い後遺症を残すことが多い難治性疾患で、早期に適切な治療が必要です。
 ほかの細菌性髄膜炎と比べ、亜急性(あきゅうせい)の発症・経過で、脳底髄膜炎(のうていずいまくえん)を示すことが多い病気です。
 粟粒(ぞくりゅう)結核の75〜86%に発症します。以前は主に小児の疾患でしたが、現在では成人や老人が大半を占めるようになりました。

症状の現れ方

 亜急性の発症で、頭痛・嘔吐、発熱などの症状で始まります。とくに発熱と強い頭痛が特徴です。この頭痛はこれまでに経験したことのないような強い痛みで、頭全体ががんがんします。患者さんの首は硬くなり、下を向きにくくなります。進行すると意識障害が現れ、さらに髄膜脳炎(視力障害、動眼(どうがん)神経障害、外転(がいてん)神経障害などの脳神経障害、けいれん症状を示す)を併発します。

検査と診断

 白血球増加、ツベルクリン反応陽性(陰性の場合もある)、胸部X線異常(肺に原発感染巣(そう)がある場合)や粟粒性結核所見、縦隔リンパ節腫大などを認めます。髄液の所見では、圧の上昇、単核球(たんかくきゅう)優位の細胞数増加、蛋白の上昇、糖の低下(20〜40mgdl)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)の増加がみられます。
 結核菌の塗抹(とまつ)、培養も行われます。PCR法による菌DNAの検出は迅速で、感度、特異性とも高くなっています。
 頭部CTおよびMRI検査では、くも膜下槽(まくかそう)の増強効果がみられ、進行すると水頭症や梗塞巣(こうそくそう)の合併、結核腫(けっかくしゅ)の形成などもみられます。
 患者さんをあお向けにして頭をそっと持ち上げると、抵抗があり、硬く感じられます。これを項部硬直(こうぶこうちょく)と呼びます。
 診断には髄液所見が重要で、結核菌が検出されると確定診断されます。髄液塗沫陽性率は20〜30%、培養陽性率は40〜80%です。肺結核やツベルクリン反応などの所見、頭部画像所見なども参考にされます。

治療の方法

 早期に治療を始めることが大切で、結核菌検出の結果を待たずに、イソニアジド+リファンピシン+ピラジナミド+ストレプトマイシンまたはエタンブトールの4剤を併用した治療を開始します。のちに、分離された菌の感受性をみながら処方を変更します。
 重症例では、炎症や浮腫(むくみ)の軽減を目的に副腎皮質ステロイド薬を併用します。水頭症が合併した場合は、脳室手術やシャント手術が行われます。
 診断や適切な治療開始が遅れると、予後はきわめて不良で、しばしば死に至ります。死亡率は20〜30%で、約25%は後遺症が残るとされています。
 乳幼児にBCGワクチンを接種すると結核予防効果があり、とくに結核性髄膜炎を予防できるとする根拠があるので、世界的にBCGワクチンの接種をすすめています。

結核性髄膜炎に気づいたらどうする

 結核専門医のいる病院(とくに国立病院機構の呼吸器専門病院など)を受診し、相談する必要があります。

関連項目

 肺結核肺炎膿胸