咽頭結膜熱(プール熱)とはどんな感染症か

 毎年夏季を中心に流行する急性のウイルス感染症で、発熱、咽頭炎(いんとうえん)、結膜炎(けつまくえん)が主な症状です。プールで感染することもあるため、日本ではプール熱とも呼ばれていますが、多くは患者さんからの飛沫(ひまつ)による感染です。そのほかに、手指を介した接触感染、タオルなどを共用したことによる感染があります。2003年以降は、冬にも小流行がみられています。
 原因ウイルスはアデノウイルスです。アデノウイルスには51種類の血清型があり、そのなかでも咽頭結膜熱を起こすのは、3型が多いといわれています。そのほか、2型、1型、4型、5型、6型、7型などでもみられます。
 患者さんは1〜5歳の各年齢がそれぞれ15%前後で、5歳以下が全体の約80%を占めています。成人での発症は多くありません。通常は数日の経過で治ります。

症状の現れ方

 5〜7日の潜伏期ののち、発熱で発症します。高熱のために熱性けいれんを起こすことがあります。そのほかに、頭痛、食欲不振、全身倦怠感(けんたいかん)、咽頭痛、結膜充血、眼痛、羞明(しゅうめい)(まぶしさを感じる)、流涙(りゅうるい)、眼脂(がんし)(目やに)が3〜5日間程度続きます。頸部のリンパ節のはれと痛みを認めることがあります。
 7型による咽頭結膜熱の場合は、何か基礎に病気をもっている人や、乳幼児、高齢者では、重篤な症状となることがあります。

検査と診断

 通常、前述のような特徴的な症状から診断されます。
 病原ウイルスを特定するためには、鼻汁、唾液、喀痰(かくたん)、糞便(ふんべん)、のどのぬぐい液などからウイルスを分離するか、ウイルス抗原を検出します。アデノウイルス抗原を検出するキットが市販されており、診断に用いられています。あるいはPCR法でウイルス遺伝子を検出します。
 血清学的診断では急性期と回復期の血清で、抗体陽転や抗体価上昇により診断されることもありますが、型の特定はできません。

治療・予防の方法

 特異的な治療をすることなく自然に治ることがほとんどですが、高熱や咽頭痛のために、水分不足になることがあるので、幼児では注意が必要です。眼の症状が強い時は、眼科の治療が必要になることがあります。
 予防としては、患者さんとの接触を避けること、流行時にはうがいや手洗いを励行することが大切です。また、治ってからしばらくの間は、便の中にウイルスが排泄されていますので、配膳前、食事前、排便後、おむつ取り替え後の手洗いの徹底が重要です。プールに入る前にはシャワーなどでおしりをよく洗うことも心がけます。プールの季節には、タオルの貸し借りをやめること、症状がある時にはプールに入らないことなど、一般的な予防法の励行が大切です。
 アデノウイルスはエンベロープ(外被となる膜)をもたないウイルスなので、消毒用エタノールの消毒効果は、エンベロープをもつウイルスに比べると弱いといわれています。消毒には煮沸や次亜塩素酸ナトリウムなどが用いられます。
 高熱が続く時や、飲食が不良で十分な水分摂取ができない場合は、早めにかかりつけ医を受診してください。

咽頭結膜熱(プール熱)に気づいたらどうする

 かかりつけの小児科を受診します。水分補給を十分に行い、高熱が続いたり脱水を思わせる症状には注意します。
 学校保健安全法では、第二種の学校感染症に規定されており、主な症状が消えてから2日を過ぎるまでは、登校・登園停止です。