ブドウ球菌食中毒とはどんな病気か

 ブドウ球菌食中毒は、黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)が食べ物を汚染し、それが増殖してエンテロトキシンと呼ばれる腸管毒(ちょうかんどく)をつくりだし、その毒素を含む食べ物を食べることで、約3時間後に発症する急性胃腸炎です。
 この食中毒は毒素型食中毒で、エンテロトキシンは耐熱性があり、黄色ブドウ球菌が死滅しても毒素が残存し、発症する場合があります。

症状の現れ方

 食べ物を食べた3〜5時間後に唾液の分泌が増加し、吐き気が起こり、続いて嘔吐が起こります。少し遅れて腹痛や下痢が起こります。
 軽症の場合は、吐き気・嘔吐のみで下痢は起こさないで終わりますが、重症の場合は十数回の嘔吐や水様性の下痢を繰り返し、脱水症状を起こして衰弱してしまうことがあります。時には37〜38℃の微熱を伴い、血圧の低下、胸内苦悶(くもん)、意識の混濁、脈拍の減少などの中毒症状を起こし、緊急入院を必要とする場合があります。
 一般的には一過性で経過もよく、1〜3日で回復して予後も良好です。死亡することはほとんどありません。

検査と診断

 原因毒素であるエンテロトキシンは、分子量2万7千〜2万9千の単純蛋白質で、抗原性の違いによりA、B、C、D、E型の5種類がありましたが、近年、G〜U型が追加されました。
 ラテックス凝集反応キットや酵素抗体法(ELISA)キットを用いて、食中毒の原因と推定された食品から毒素を検出します。食品から毒素が検出されないこともあり、同時に食中毒と推定された食品から黄色ブドウ球菌の検査も実施します。
 食べ物を食べて3〜5時間後に吐き気、嘔吐、下痢がみられた場合は本食中毒が疑われ、診断上の重要なキーのひとつになります。

治療の方法

 この食中毒は感染症ではなく、抗菌薬による治療の必要はありません。特別な治療も必要ありませんが、重症の場合は脱水症状を改善するため、点滴などですばやく補水し、血圧の低下や脈拍微弱の管理に十分注意する必要があります。