エイズ(後天性免疫不全症候群)<感染症>の症状の現れ方

 HIV感染症に特徴的な症状はありません。感染成立後に起こる急激なウイルス増殖に対する免疫反応として、発熱、倦怠感(けんたいかん)、頭痛、関節痛、発疹、リンパ節の腫大、一過性の末梢血リンパ球低下などの、一般的なウイルス感染症の症状を示すことがありますが、無症状のこともあります。特徴的な所見がないことから、HIVに感染した事実に気がつかないことが多々あります。
 HIV感染症は、5年前後で感染者の免疫力を奪っていきます。この間、無症状で経過することが多いのですが、HIV‐1は生体内で盛んに増殖をするため、血液検査で白血球数や血小板数の減少を認める場合があります。そして、病気の進行とともにCD4陽性細胞数が低下してくると免疫力が奪われて、発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気・嘔吐などの症状が出てきます。
 最終的に深刻な免疫不全に陥り、ニューモシスチス肺炎などの日和見(ひよりみ)感染症、悪性腫瘍、認知症などを合併します。このように免疫不全症状を示すようになった状態を、エイズと呼びます。

エイズ(後天性免疫不全症候群)<感染症>の診断と治療の方法

 HIV感染症の治療薬剤は多数開発されていて現在22種類あります。逆転写酵素阻害薬(ぎゃくてんしゃこうそそがいやく)が12種類、プロテアーゼ阻害薬が8種類、インテグラーゼ阻害薬が1剤、そしてHIVが感染するときに利用するCCR5レセプターを狙ったCCR5阻害薬が1剤あります。これらの薬剤を3剤以上組み合わせた多剤併用療法が、標準的な治療法として行われています。
 多剤併用療法は良好な効果をあげており、この治療方法が始まってから、エイズで亡くなる患者さんの数は大幅に減りました。それでも、多剤併用療法でHIV感染症を根治することはできないため、患者さんは生涯薬をのみ続けなければなりません。また、HIVは薬に対して抵抗性(薬剤耐性)を獲得しやすいため、処方された薬を決められたとおり正確に服用しなければなりません。