伝染性単核(球)症とはどんな感染症か

 伝染性単核(球)症は、米国では「キス病」とも呼ばれている急性感染症です。 原因はエプスタイン・バー・ウイルス(EBウイルス)の感染で、主に唾液を介して感染します。感染する時期(年齢)によって症状の現れ方が異なります。乳幼児期では不顕性(ふけんせい)感染(病原菌に感染しても症状が現れない)が多く、思春期以降では感染者の約半数に本症がみられます。
 EBウイルスは一度感染すると、その後は潜伏感染状態となり、終生にわたって共存します。そのため、急性感染症以外にもいろいろな病気を引き起こすことがわかってきました(コラム)。
 大人では90%以上がすでに陽性者で、世界中に蔓延(まんえん)しているウイルスです。

症状の現れ方

 潜伏期間は、ほかのウイルスに比べると長く、30〜40日と考えられています。主な症状は発熱、頸部(けいぶ)(首)リンパ節の腫脹(はれ)、咽頭痛です。
 まず頭痛、熱感、悪寒(おかん)、発汗、食欲不振、倦怠感(けんたいかん)などの前駆症状が数日間続き、その後38℃以上の高熱が1〜2週間続きます。頸部リンパ節の腫脹は発症2週目ころから現れ、時に全身性のリンパ節腫脹もみられます。上咽頭のリンパ節腫大による鼻閉(びへい)もよく起こります。扁桃(へんとう)は発赤腫脹し、口蓋(こうがい)に出血性の粘膜疹が出て咽頭痛を訴えます。
 約3分の1の患者さんに、溶血連鎖球菌性(ようけつれんさきゅうきんせい)扁桃炎の合併が起こります。肝腫(かんしゅ)が10〜15%に、脾腫(ひしゅ)が約半数の患者さんに認められ、急激な腫脹のためにまれに脾臓の破裂を招くことがあります。

検査と診断

 血液検査で白血球の増加(末梢血中の単核球の増加と異型リンパ球の出現)が、また肝機能の異常(急性肝炎)が80%の患者さんにみられます。
 診断はEBウイルスの抗体検査で確定します。ほかのウイルス感染や悪性リンパ腫、リンパ性白血病などとの区別が必要になります。

治療の方法

 この病気に特別な治療法はなく、安静と対症療法が中心です。咽頭痛がひどい場合は、アセトアミノフェンなどを用います。症状が長引く場合は、ステロイドホルモン薬(体重1kgあたり0・5〜1mg)を用います。アシクロビル(ゾビラックス)などの抗ウイルス薬の有効性は証明されていません。
 一般的に予後は良好で、1〜3カ月で治ります。重症型には、血漿(けっしょう)交換療法や抗がん薬が用いられます。

伝染性単核(球)症に気づいたらどうする

 発熱が1週間続く場合は、病院で精密検査を受けてください。症状が進行して劇症肝炎(げきしょうかんえん)や血球貪食(けっきゅうどんしょく)症候群などを併発すれば、生命の危険があります。リンパ節腫大が長引き、悪性リンパ腫と誤診されることがあるので要注意です。
 ワクチンが開発されていますが、実用化はされていません。ほとんどの大人は既感染者なので、他人への伝播(でんぱ)を気にする必要はありません。