A型肝炎とはどんな感染症か

 A型肝炎ウイルス感染によって肝臓に炎症が生じ、肝細胞の破壊、肝機能の低下を示す病気です。急性肝炎として発症・治癒し、慢性化することはなく、肝硬変肝細胞がんへ進展することはありません。
 ウイルスに汚染された水を飲んだり、食品、とくに牡蠣(かき)を中心とした生の魚介類を食べることにより感染します。体内に侵入したウイルスは腸から吸収されて肝臓に入って増殖し、約4週間の潜伏期をへて発病します。潜伏期間中および発病後しばらくの間、ウイルスは糞便中に排泄され、他者への感染の原因となります。
 衛生環境不良な発展途上国では、乳幼児期の感染を中心に蔓延していますが、日本では散発的に発生するものとなっています。感染症法にて届け出対象となっており、近年では年間数百例が報告されています。

症状の現れ方

 初期症状は、発熱、倦怠感(けんたいかん)、食欲低下、下痢、嘔吐などで、かぜの症状と間違われることも少なくありません。その後、肝機能の低下に伴って、黄疸(おうだん)が出現します。自覚的には、褐色尿、皮膚や眼球の黄色に変化することに気づきます。
 血液検査を行うと、肝酵素が著しく上昇しており、肝炎であることが判明します。通常、1〜2週のうちに快方に向かい、1〜2カ月の経過で治癒します。しかし、まれに重症化、劇症化すること、急性腎不全などの肝外症状を生じることがあり注意が必要です。

検査と診断

 肝炎の原因がA型肝炎ウイルスかどうかは、感染初期の数カ月間のみ血液中で検出されるIgM型のA型肝炎ウイルス抗体の有無を調べて判断します。なお、IgG型のA型肝炎ウイルス抗体は、感染後、長期間検出されるため、不顕性感染(感染しても発病しないもの)を含めた感染があったときやワクチン接種後には陽性となります。

治療の方法

 A型肝炎特有の治療法はなく、急性期には入院、安静臥床を原則とし、自然治癒を待ちます。劇症化や肝外症状が出現した場合は、それに応じた治療が行われます。食欲がなく経口摂取不能な場合は、ブドウ糖、ビタミンなどの輸液が行われます。
 また、東南アジアなどの流行地へ渡航する場合は、ワクチン接種により感染を予防することが可能です。

A型肝炎に気づいたらどうする

 発症前後の糞便には多量にウイルスが排出されるため、家庭内では手洗いを念入りにして排便後の衛生管理に注意を払う必要があります。