リッサウイルス感染症とはどんな感染症か

 狂犬病(きょうけんびょう)と同じ、ラブドウイルス科リッサウイルス属のウイルスによって起こる病気です。これまでにヨーロッパ、オーストラリア、アフリカで9例が報告されていますが、日本での報告はありません。


 多くの場合、リッサウイルスに感染したコウモリに咬まれて発症します。リッサウイルスが報告されている地域では、コウモリ(感染源動物)との接触を避けることが発症予防につながります(表6)。

症状の現れ方

 発症した患者さんは、狂犬病でみられるような「発熱、食欲不振、倦怠感(けんたいかん)、感染(咬傷(こうしょう))を受けた四肢の痛みやかゆみ、咽頭痛、知覚過敏」といった初期症状と、これに続く「興奮性の亢進、嚥下(えんげ)困難、発声困難、筋痙縮(きんけいしゅく)、恐水(きょうすい)症状や精神撹乱(かくらん)などの中枢神経症状」が現れます。
 病態は急性かつ進行性で、けいれんや攻撃的な神経症状が次第に強くなって持続し、四肢の弛緩(しかん)、脱力が増強して、最後には昏睡(こんすい)状態となって呼吸停止とともに死亡します。
 標準的な潜伏期間は、狂犬病ウイルスと同様に20〜90日です。オーストラリアで1998年に報告された事例では、コウモリによる咬傷を受けてから27カ月後に発症しています。

検査と診断

 狂犬病と同様に、発症するまでウイルスも抗体も検出することができません。検査は、神経組織のウイルス抗原、もしくは遺伝子を検出します。ウイルスの抗原性や遺伝子配列の違いで、狂犬病との区別が可能です。
 診断は、患者さんの海外渡航歴、感染源動物との接触履歴(りれき)が重要な手がかりとなります。区別すべき病気には、ほかのウイルス・細菌性の脳炎、ギラン・バレー症候群、神経系毒素や重金属中毒による神経疾患があげられます。

治療の方法

 基本的に、狂犬病に準じます。現在、リッサウイルス感染症に対して有効な治療方法はなく、予防を目的としたワクチンや免疫グロブリンもありません。
 狂犬病ワクチンによって、オーストラリアコウモリリッサウイルスの発症予防が可能です。ラゴスコウモリウイルス、ドゥベンヘイグウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルスは、抗原性が狂犬病ウイルスに類似しており、予防効果があります。モコラウイルスの感染に対しては、狂犬病ワクチンとの交差反応がみられないため、予防効果はないと考えられています。

リッサウイルス感染症に気づいたらどうする

 受診する診療科は、基本的に狂犬病に準じるので、保健所に海外渡航歴や感染源動物との接触履歴などを説明して、適切な診療機関を相談します。

関連項目

 狂犬病