黄色ブドウ球菌食中毒とはどんな食中毒か

 黄色ブドウ球菌を原因とする食中毒です。ブドウ球菌は、顕微鏡で観察すると、ブドウの房のように集まっていることから、この名前がつけられました。ブドウ球菌の仲間は、現在約40菌種が知られていますが、食中毒の原因となるのは黄色ブドウ球菌です。
 この菌は自然界に広く分布しており、健康な人の皮膚やのどなどにも存在します。とくに調理する人の手や指に傷や湿疹があり、傷口が化膿している場合は、食品を汚染する確率が高くなります。
 この菌による食中毒症状は、菌そのものによるものではなく、菌が増殖するときに産生されたエンテロトキシンという耐熱性の毒素によるものです。菌が調理する人の手から食品に取り込まれ、汚染された食品のなかで菌が増殖して毒素が産生され、この毒素を食品といっしょに食べることで発症します。

症状の現れ方

 おにぎりや弁当、サンドイッチやケーキなどを食べたあと、唾液の分泌が増加し、次いで激しい吐き気、嘔吐、腹痛などの症状が現れて発症します。下痢も伴いますが、発熱することはあまりありません。
 潜伏時間は1〜5時間(平均約3時間)と短いのが特徴で、症状はほとんどが24時間以内に回復し、予後は良好です。まれに脱水症状になる場合があり、この時は点滴などが必要になります。

検査と診断

 診断には、原因食品からの黄色ブドウ球菌の分離とエンテロトキシンの検出が重要ですが、菌は必ずしも分離されないこともあります。

予防のために

 菌自体は熱に弱く、通常の加熱処理で死滅しますが、毒素は熱や乾燥に強く、食品中で毒素が産生されてしまうと、その後、食品を加熱しても毒素は不活化されず、食中毒の原因になります。
 予防としては、食品を扱う時は手指をよく消毒し、手指に化膿性疾患があれば食品を取り扱わないことが大切です。手袋の使用は効果があります。汚染を受ければ、あらゆる食品が食中毒の原因になる可能性をもっています。食品を10℃以下に保つことで、菌の増殖を抑えることも重要です。