病原性大腸菌食中毒とはどんな食中毒か

 下痢の原因となる大腸菌は、その病原性の特徴から、いわゆる狭義の腸管病原性(ちょうかんびょうげんせい)大腸菌、腸管侵入性(しんにゅうせい)大腸菌、腸管出血性大腸菌、毒素原性(どくそげんせい)大腸菌、腸管凝集接着性(ぎょうしゅうせっちゃくせい)大腸菌などに分類されています。主にこれらに汚染された食品を摂取することで、食中毒を発症します。

症状の現れ方


腸管出血性大腸菌

 腸管出血性大腸菌(O(オー)157:H7という血清型を示すものが多い)による腸炎は、無症候性から軽度の下痢、激しい腹痛、繰り返す水様便、さらに著しい血便とともに重い合併症を起こし、死に至るものまでさまざまです。多くの場合3〜5日の潜伏期間をおいて激しい腹痛を伴う頻回の水様便ののちに、血便となります(出血性大腸炎)。さらに、腸管外症状として腎障害を示すことがあり、とくに乳幼児と高齢者では溶血性尿毒症(ようけつせいにょうどくしょう)症候群や脳症などの危険な合併症を起こして死亡することがあるので注意が必要です。
腸管病原性大腸菌
 主な症状は、下痢、腹痛、発熱、嘔吐などで、乳幼児ではしばしば非細菌性胃腸炎や毒素原性大腸菌下痢症よりも重症で、コレラのような脱水症状がみられることがあります。
毒素原性大腸菌
 主な症状は下痢であり、嘔吐を伴うことも多いのですが、腹痛は軽度で発熱もまれです。しかし重症例、とくに小児の場合ではコレラと同様に脱水症状に陥ることがあります。
 腸管病原性大腸菌と毒素原性大腸菌感染症における潜伏期間は12〜72時間ですが、それより短い場合もあります。
腸管侵入性大腸菌
 主な症状は下痢、発熱、腹痛ですが、重症になると赤痢(せきり)のような血便または粘血便、しぶり腹などがみられ、臨床的に赤痢と区別するのは困難です。潜伏期間は一定しませんが、通常12〜48時間です。
腸管凝集接着性大腸菌
 症状は2週間以上続く持続性の下痢として特徴づけられますが、一般には粘液を含む水様性下痢および腹痛が主で、嘔吐はまれです。
 腸管出血性大腸菌以外の大腸菌による腸炎は発展途上国でよくみられます。とくに毒素原性大腸菌は、発展途上国への旅行者にみられる下痢症では、最も検出頻度が高い細菌です。

治療の方法

 下痢症は、症状、季節、年齢などを考慮して適切に診断し、それに応じた治療を行います。