急性砒素中毒とはどんな病気か

 亜砒酸(あひさん)を経口摂取すると、体内のさまざまな組織や酵素のSH基と結合し、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状をはじめ、低血圧、脱力感、頭痛、皮膚の紅斑、結膜炎などの全身症状が起こります。いったん組織に沈着した砒素は遊離しにくく、やがて慢性中毒の症状も起こします。

原因は何か

 有機砒素(ゆうきひそ)に比べ、無機砒素のほうが高い毒性をもっています。無機砒素には3価と5価がありますが、3価すなわち亜砒酸のほうが毒性がより高いことが知られています。
 亜砒酸は薬品の材料などとして広く用いられていますが、一般においても、以前からシロアリ駆除剤などに使われ、比較的ありふれた薬品といえます。無味無臭でもあることから、昔から自殺や他殺にしばしば使われてきました。

症状の現れ方

 食べ物などに溶けている状態の亜砒酸を摂取すると、数分以内に激しい嘔吐が始まり、2時間ほどして下痢も起こります。それとともに血圧低下がみられます。また、腹痛も多くみられます。結晶の亜砒酸を摂取した場合は、症状の発現は若干遅れます。これらの症状はいずれも、少なくとも数日間続きます。
 その他、頭痛、脱力感、運動麻痺、知覚障害、皮膚の紅斑・色素沈着、結膜炎、脱毛、顔面浮腫(むくみ)、腎不全などが生じます。けいれんや精神障害がみられることもあります。重症の血圧低下や急性腎不全が起こると死亡します。

検査と診断

 吐物中の砒素を蛍光(けいこう)X線分析法で調べます。腹部X線写真で胃のなかの砒素が写ることもあります。摂取後数時間で尿中の砒素が上昇し、高値は数カ月続きます。数日たつと毛髪中の砒素も上昇します。

治療の方法

 すみやかに吐かせ、胃の洗浄を行います。下剤と活性炭の投与も行います。
 キレート剤(金属をはさみ込んで体外に排出させやすくする薬)としては、ジメルカプロール(バル)がありますが、時期を逸すると効果が乏しくなるため、摂取後できるだけ早く投与する必要があります。
 輸液を十分に行い、水分と電解質の管理をします。血圧の低下に対する循環管理も重要です。その他、呼吸管理、対症療法を行います。最重症では透析を行いますが、著明な効果は期待できません。

急性砒素中毒に気づいたらどうする

 すぐに、できるだけ吐かせるようにして、救急病院に搬送してください。

関連項目

 重金属中毒慢性砒素中毒急性腎不全