• 医学では3つの予防概念があります。
  • 一次予防とは、先天異常の発生原因への対策です。
  • 通常の突然変異は予防の方法がありませんが、生殖細胞や胎児を環境化学物質や放射線など催奇形因子(さいきけいいんし)の無用な被曝から避けることが大切です。
  • ストレスも胎児の発生に大きな影響を与えます。
  • 染色体突然変異は高齢出産や家族計画を無視した妊娠(受精のタイミングが悪い遅延受精など)により発生頻度が高まるので、これらを避けることも大切でしょう。
  • 家系内に遺伝性疾患をもった人がいる場合は、遺伝カウンセリングを受けて自分の遺伝子に関する情報を知ることも元気な赤ちゃんを産むために有効です。
  • しかし先天異常の一次予防の第一歩は、カップルの生活習慣の改善により心身ともに健康な生活をめざすことといわれています。
  • 二次予防は、先天異常の早期発見と早期治療により障害の発生を最小限にすることです。
  • 適切な医学的管理、育児、療育訓練が基本になります。
  • 先天異常を胎児の段階で診断し、重い先天異常の子どもを産まないようにする出生前診断や、遺伝子マーカーテストと呼ばれるスクリーニング検査も、ある意味では二次予防の手段です。
  • しかし、診断できる疾患はごく限られていますし、実施には倫理的な課題を伴います。
  • 安易に飛びつくのではなく、遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医とよく相談して納得してから選択することが大切です。
  • 三次予防はノーマライゼーションと呼ばれますが、先天異常をもった人が障害を感じないような生活環境をつくってあげることです。
  • これは社会的な対応が必要なので個人の力では限界があるかもしれませんが、予防対策のなかで最も重要視されています。
先天異常

「元気な赤ちゃんが生まれて当たり前、先天異常をもった赤ちゃんはまれでしょう」と思っていませんか。実は先天異常の発生頻度はみなさんが考えているよりはるかに高いということをまず理解してください。 生まれてすぐにわかる先天異常としては奇形や重い臓器異常(心臓、肺、腎臓などの奇形)が代表ですが、これらの障害は1・5〜2%の新生児にみられます。先天的な原因による知的障害もめずらしくない先天異常ですが、これらは1歳を過ぎないとわからない場合があります。遺伝子の異常による遺伝病の発生頻度は1〜2%といわれていますし、染色体異常は新生児の1%にみられます。複数の遺伝子や環境が関係する先天異常は数%以上といわれていますから、このような先天異常をすべて含めると、生まれた子どもの10人に1人は何らかの先天異常をもっていて、その半分はかなり重いハンディキャップの原因になるといわれています。