医学では3つの予防概念があります。
 一次予防とは、先天異常の発生原因への対策です。通常の突然変異は予防の方法がありませんが、生殖細胞や胎児を環境化学物質や放射線など催奇形因子(さいきけいいんし)の無用な被曝から避けることが大切です。
 ストレスも胎児の発生に大きな影響を与えます。染色体突然変異は高齢出産や家族計画を無視した妊娠(受精のタイミングが悪い遅延受精など)により発生頻度が高まるので、これらを避けることも大切でしょう。
 家系内に遺伝性疾患をもった人がいる場合は、遺伝カウンセリングを受けて自分の遺伝子に関する情報を知ることも元気な赤ちゃんを産むために有効です。しかし先天異常の一次予防の第一歩は、カップルの生活習慣の改善により心身ともに健康な生活をめざすことといわれています。
 二次予防は、先天異常の早期発見と早期治療により障害の発生を最小限にすることです。適切な医学的管理、育児、療育訓練が基本になります。先天異常を胎児の段階で診断し、重い先天異常の子どもを産まないようにする出生前診断や、遺伝子マーカーテストと呼ばれるスクリーニング検査も、ある意味では二次予防の手段です。
 しかし、診断できる疾患はごく限られていますし、実施には倫理的な課題を伴います。安易に飛びつくのではなく、遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医とよく相談して納得してから選択することが大切です。
 三次予防はノーマライゼーションと呼ばれますが、先天異常をもった人が障害を感じないような生活環境をつくってあげることです。これは社会的な対応が必要なので個人の力では限界があるかもしれませんが、予防対策のなかで最も重要視されています。